『ノーカントリー』
★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)
この作品を超えるものはしばらく出てこない、本編が始まってすぐに分かりました。
ゾクゾクと込み上げてくる驚喜の泡・・・こんなモンスターヒーローを待ち望んでいたのかもしれない。
変わりゆく80年代のテキサスを舞台に、ヘロイン密売人が絡んだ大金をネコババした凡庸な男が、非情な殺し屋に追われるヴァイオレンスサスペンス。
監督は二つの体に一つの頭を持つと言われるコーエン兄弟。『ファーゴ』(1996)ではカンヌ国際映画祭監督賞に加え、アカデミー賞オリジナル脚本賞も獲得。『オーブラザー!』(2000)では二人で共同し脚本を手掛け、アカデミー賞および英アカデミー脚色賞にノミネート。その独特の演出法から生まれる世界観は多くの映画ファンを魅了する。
メキシコ国境に近い砂漠にて、ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)は銃撃戦後の死体の傍で偶然、200万ドルの大金を発見する。盗んで逃げるという選択肢をとったモスは、雪だるま式に追い込まれていく。追う男・謎の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)は不気味な酸素ボンベエアーガンを携え、モスの行方を容易に嗅ぎ付けていく。事態を察知した保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、2人の行方を追い調査し始めるのだが。
(↓以下ネタばれあり)
モスって無計画で、その上ひとつひとつの行動が結構雑なんです。そこがすごく物語を面白くしている気がします。逃げる男・モスのキャラクター設定が私たち一般人に割と近い視点で置かれているので、“追われている”という独特の緊迫感と恐怖を生み出すこと成功している。
殺人鬼シガーは絶対に曲がらないんです。固まった油の棒のようにボッテリとしていて、全身に異様なエネルギーが詰まっているイメージ。彼シガーに少しでも慈悲の心があったら、この作品はこれほどまでに評価されなかったのかもしれないですね。
キャラクターの髪型から細かく演出していくことで知られるコーエン兄弟のこだわりが随所に見られ、これが真の映画なんだ・・・と実感させられました。
あっそういえば、一つ気になるシーンがありました。それは“殺人犬が河に飛び込んだモスを猛スピードで追いかけてくるシーン”。CGじゃなかったんですね。あのシーンは殺人鬼に追
われる以上に怖い・・・ですね。
今年は良い映画が本当に多い気がします。映画批評の更新も頑張ります。
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