映画作品すべて

2008.12.04

『ハッピーフライト』

Photo_2映画批評47弾!!矢口史靖監督が「ヒコーキ」をテーマにした最新作!!

『ハッピーフライト』勝手に自己評価!!

★★★☆☆☆☆☆☆☆10点満点中3点)

矢口監督だからこそできた、航空会社のためのムービー

さまざまな制約と、思惑を感じる。物足りないのは矢口監督自身??

場所は空港。主役は飛行機、それを支える様々な働きマンの物語。機長昇格への最終訓練のため操縦に臨む副操縦士(田辺誠一)。彼の試験教官として同乗する堅物機長(時任三郎)。彼に飛行中、鋭く激を飛ばされるCA泣かせの鬼チーフパーサー(寺島しのぶ)。彼女に指導を受ける国際線初業務のほんわかCA(綾瀬はるか)。乗客の野次、クレームに追われ、時に喜びと安堵に触れられる過酷な日々を送るグランドスタッフ達。安全な飛行のために最善の注意をはかりメンテナンスする整備士達、などなど…登場人物は様々。

Photo_5 1台のヒコーキの1回のフライトなために悪戦苦闘するスタッフ達をユーモアたっぷりに描き出した本作品。矢口史靖監督だけあって、もちろん予定通りには進まないフライトプラン、簡単には離着陸させません。緻密な研究が可能にしたシナリオはサスガです。

本作品はANA(全日本空輸)の協賛なしでは完成なしえなかった映画でしょPhoto_3 う。空港をロケーションのために設営し、機内の様子を忠実に再現するにはハリウッドのような莫大な予算がないと出来ないわけですから。そう考えると「ターミナル」(トムハンクス主演)の舞台になったエアポートは作品のためにわざわざ作ったわけですから、スゴイですわ。

日本映画のように限られた資金で、ヒコーキムービーを作るとなると、やっぱり航空会社の熱心な協力体制が無いと成立しないですよね。特に実際の現場をロケ地として提供する姿勢にはとても感心させられました。

しかし、そうなると・・・制作者側にはある種の制約が課せられるわけです。協力してくれた会社との約束事。

それゆえにテーマを「安全、安心なフライト」と置くのは必須だとして、そこにPhoto_6 HAPPYになれる面白さを盛り込んだのは矢口脚本のうまさでしょう。

しかし飛行機内で起こる出来事といったら、従来の飛行機を題材にしたドラマや、海外映画で予想はできちゃうわけです。その予想を大きく上回るようなアイデアや印象的なシーンが盛り込まれていなかったのには少し残念・・・

Photo_4 全編、空港内ロケにすれば矢口監督の見せ場はもっと見れた気がするなぁ。

ハリウッドで主流になっている映画コンテンツを利用したプロダクト・プレイスメント手法を見ると感じることなんですが、やっぱり純粋映画に、企業の『売り』行為が絡むとどうしても疑問を抱いてしまう。サジ加減の難しいところです。

面白いんです。しかし映画を映画として観ることができなかったのは恐らく私のツマラナイ部分なのでしょう。

フジ×東宝の枠から一度離れて、PFF時のような矢口監督の全力投球アイデア勝負の崖っぷち作品を観てみたいものだ。

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2008.11.26

5HT☆ゴジラのチャック★

あっこんな感じの映画前にも観た事がある・・・

Photo_4『クローバーフィールド HAKAISHA』(マット・リーヴス監督)を観終わってふと思い出した。

ドラマ『エイリアス』『LOST』を手掛けたアメリカの敏腕プロデューサーJ.J.エイブラムスが放つ新感覚のパニックムービーである本作だが、私にとってはハリウッド作品特有の臭いがしてならなかった。

奇しくも、1998年に公開された『GODZILLA』(ローランド・エメリッPhoto_5ヒ 監督)を観たときの、失望感を思い出してしまったのだ。

アメリカのマーケティングには、

「時間的な関係よりも、空間的な広がりを大切にする」コミュニケーションの根幹が存在するといわれている。

事実、現在のハリウッド映画は、アメリカという国を離れて、無国籍映画になりつつある。国境を超え、世界中の人々との感動の共感を目的としているハリウッド作品は、他国のリメイク版や、過去のアニメヒーローの実写化を繰り返している。

分かりやすい映画とは、ある種とてもグローバルである。

それはハリウッド映画の良い点でもある。

しかし、内容自体に新鮮さを埋め込むことを失ったハリウッドは、技術面でインパクトを与えようとしている。『クローバーフィールド』は確かに、斬新なカメラワークを用いて、観客に新しいリアクションを与えたかもしれない。しかしながら、中身はとても薄っぺく感じてしまっPhoto_6た。

現在、映画を研究するアメリカの学者達は、かつて一斉を風靡した背中にチャックのある生々しいゴジラを再度目を向けているという。

“ゴジラのチャック”

Photoきっとそこにハリウッド映画の今後の展開を占うヒントが隠されているはずだ。

『クローバーフィールド HAKAISHA』ことのついでに自己評価!!

★★☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中2点)

続編制作が決まって現在進行中のようだが、観る気にはなれない・・・

 

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2008.10.30

『パコと魔法の絵本』

Photo 映画批評46弾!!中島哲也監督が絵本の世界を実写×CGアニメで映像化した異色最新ムービー!!

『パコと魔法の絵本』勝手に自己評価!!

★★★★★★moon2☆☆☆10点満点中6.5点)

劇場スクリーンで観てほしい映像。ポイントはサダヲ。

前作『下妻』、前々作『松子』の失望感から、監督の評価が再びグーンときました。

自分一人で会社を作り、仕事一途に生きてきたワガママジジイの大貫(役所広司)が、持病で入院する病院。しかしそこには、患者も医者も看護婦もクセのある者ばかりが集まっていた・・・。その中で唯一ピュアな心を持っていたのが、交通事故で一日しか記憶を保てなくなってしまった少女パコ(アヤカ・ウィルソン)。やがて大貫はあるきっかけから、パコのために毎日、絵本を読み聞かせるようになる。そして彼はパコのために絵本をお芝居にしようと病院の人々に呼びかけるのだった。

監督は前作『嫌われ松子の一生』で中谷美紀を追い込み、怒鳴り散らし、泣かせ、演技を叩き込んで女としての殻を破らせた中島哲也

原作は、後藤ひろひとの舞台「MID SUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人」。

キャストは大人の俳優に脱皮できずに人生を諦めてしまった元有名  子役の室町に妻夫木聡、ジュディ・オングが好きなオカマの木之元にベテラン俳優の國村隼、その他にもヤクザの龍門寺に舞台でも同役を演じた山内圭哉、空気の読めない謎の男堀米を阿部サダヲ、ピーターパンに成りきるドクター浅野に上川隆也、タトゥー入りのヤンキー看護師タマ子を中島監督秘蔵っ子の土屋アンナ、顔は怖いが金にめっぽう弱い看護師雅美を小池栄子、その雅美の天然オトボケ亭主・浩一に加瀬亮と実に豪華。Photo_3

ミーハーにも、映画好きにもウケるキャスティングが今回の興行成績の高さに繋がったのでしょう。妻夫木聡は松尾スズキの『クワイエットルームへようこそ』での壊れた演技が少し消化不良に感じていただけに今回は・・・と思ったが、演出に迷いが無いのが伝わり、演技にも迷いを感じさせない力強さが見えた。

Photo_6   中島監督の前作品『下妻』『松子』の苦笑シーン+ストーリーの間延びはうまいこと修正。その要因のひとつは・・・阿部サダヲキャラクターと、空気の読めない割り込みシーン。

芸人である劇団ひとりを、もっとも普通であるキャラクターに置いたことが実に良かった。変人、変人、変人・・・だけではただのおバカ映画にも見えてしまうが、劇団ひとりがウマいこと、ベースキャラとなり、観客に目を休ませる隙を与えているのだ。Photo_9

「役所さんがそこまでやるなら、若手がやらないわけにはいかないそんな現場の良い雰囲気が作品から伝わってきた。

劇場スクリーンで観たほうがいいかもしれません。

家で観ると意外に、落ち着いてみれてしまうので。

Photo_10なぜだか、大倉孝二が恋しく感じた、次は是非。

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2008.10.29

『4ヶ月、3週と2日』

映画批評45弾!!2007年カンヌ国際映画祭パルムドール(最高)受賞作品!!Photo_7

『4ヶ月、3週と2日』勝手に自己評価!!

☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(10点満点中9点)

すばらしい。

女性の心理を浮き彫りにし、息苦しいまでに美しい。

1987年独裁政権末期のルーマニアが舞台。望まない妊娠をしたルームメイトの違法手術を助けるヒロインの緊迫感あふれる一日を描く。大学生のオティリア(アナマリア・マリンカ)は予想外の事態が重なるが、友情と勇気で壮絶な決断を下すことになる。世代、国を越え、多くの人々の心にずっしりとのしかかる衝撃作。

役者の演技、脚本も良いが、なんといっても斬新なカメラワークがこの物語に息を吹きこんでいる。

日本でもしばし用いられる長回しと呼ばれるカットを割らない撮影技法、しかし一見固定で撮影しているように思うが、しばしフレームがぶれている。これは意図的か、登場人物の不安定な心情、悩める状況が巧妙に表現されているのである。

Photo_2カメラワークはそのままなのに、登場人物たちはやたらにしゃべってる、会話の相手は映らない。ヌーベルバーク作品を思い出させるのだが、何か違う。現代的でもある。

暗闇の中で、主人公の息遣いが聞こえる。

低トーンの画面端で誰かがこっちを見ている。

苛立つ心、それでも友人の元へと引き付けられる体。その違和感が、観客にリアリティを与える。

Photo_4若いながらもクリスティアン・ムンジウ監督の類まれなる才能は素晴らしい。周到なリサーチとルーマニア独裁政権の時代考証に裏付けされた徹底的なリアリズムの追求には驚かされた。

私がもっとも印象に残ったシーンは、ヒロインと恋人男性とが実家の部屋の中で言い争うところ。セリフの掛け合いは深刻なのに、なぜかユーモアにも思えてしまう。

二度は見たくはない。

女性には少し辛い内容かもしれない。

しかし、すばらしい作品であることは間違いない。

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2008.10.18

4HT『映画にまつわるエトセトラ』

しばらく留守をしてすいません。

私情でパソコン環境を変えざるをえなかったので、長い間新規記事を投稿できませんでした!!

アナログ人間なので、

ITフレンドに助けてもらいました。

★晴れて本日からブログ復活、復活☆

ジャスティンどうもありがとう。

耳の上に乗せた青いドライバー。

しぶいよね、ジャパニーズ大工かと思ったよ。。

さて、今回は映画にまつわる小ネタをひとつ・・・

昔昔、ある西洋人が日本の映画館のスクリーンを眺めて突然こう怒った。

「なんで日本の映画は、映像上部に無駄な空を映すんだ!!登場人物が見づらいし、これじゃあ作品の内容にも集中できん!!」

「えっ??」隣で同じようにスクリーンに映し出される映像を観ていた日本人は驚いた。

「何がそんなに気に食わんのだ?」と。

映画が日本に到来した1980年代後半、

すでに西洋人と日本人ではスクリーンの観方が異なっていたのだ。

種明かしをすると、

西洋人は映像作品本来のスタイル、内容を気にするために、

まるでスクリーンの上方に映し出される無意味な空の情景に不快感を覚え、それを作品本来の流れを害するものととらえた。

しかし、日本人はちがった。

日本には映画が到来する以前までに根付いてきた文化があった。

“巻き物や、掛け軸、版画といった上方に空白を作る美学”

「日本人は、スクリーンを通して、仮想の空間を観るのではなく、スクリーンをみているのである」

日本人と西洋人の空間の観方の違いが、映画自体の視点に違いを生んだという、ちょっとした豆知識である。

そういえば、ジャスティン。

君が忘れていった赤い長靴、今じゃザリガニ達の寝床になっているよ。

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2008.07.13

『僕の彼女はサイボーグ』

Photo 映画批評44弾!!『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督×綾瀬はるかの本格アクション!!

『僕の彼女はサイボーグ』勝手に自己評価!!

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中1点)

わざわざ韓国人の監督を起用する内容かなぁ・・・

アイドルムービーを観ているようだった。

21歳の“僕”(小出恵介)を救うために未来の“僕”が現在の自分宛てに送った最高にキュートな“彼女”(綾瀬はるか)は、やることなすことすべてが大胆なサイボーグ。いつしか二人は奇妙な共同生活をし始め、“彼女”は“僕”のピンチを幾度となく救ってくれる。しかし、感情を一切持たない“彼女”に思いが伝わらず、“僕”は一方的に別れを告げてしまうのだが。

果たしてすべては恋なのか?単なるミッションなのか?予期せぬ結末が二 人に訪れる・・・。決して起こるはずのなかった運命が音を立てて転がり始める。

『猟奇的な彼女』『僕の彼女を紹介します』のクァク・ジェヨンがメガホンを取り、日本人でスタッフチームを結成。大胆な彼女と消極的な僕という基本設定にSFファンタジーとアクションを融合し、主演にはサイボーグの衣装をまとい、初の本格アクションに挑む綾瀬はるかをキャスティング。

Photo_5 公開前から期待していた作品でした。韓国人監督や内容がどーこーではなく、脇を固める俳優陣にとても魅力を感じたからです。特に『パッチギ』『クローズZERO』のダテ男・桐谷健太、『紀子の食卓』『転々』の吉高由里子のキャスティングは相当旬だなぁ~と思いました。

しかし、蓋を開けてみたら私の期待は耐えて耐えて、開始30分程でヒューと飛ばされて行きました。

確かにクォン・ジェヨン監督の韓流色は随所に出ていました。女性を綺麗に、丁寧にレンズを通して映し出している点には納得・感心。綾瀬はるかのチャーミングさが引き立っていました。でも、それはあくまでアイドル色が強く、女優としての“美味さ”はかき消されてしまっていたようでした。Photo_4

一方で、僕を演じた小出恵介は見栄えが悪かった。ルックスや演技の方はもちろん良いのだが、カメラレンズ越しに映し出される彼への制作者の配慮・こだわりが足りない気がした。ストーリーキャラクターを重視しすぎて、役者としての良さをこちらもかき消されてしまっていた。

注目していた脇役達はというと、何とほぼ全員出オチ・・・。

いやぁ、贅沢といえば贅沢・・・いやぁ勿体無い。もっと作品の流れに馴染ませて、しっかりとしたキャラクターとして登場させてほしかった。遠藤憲一、竹中直人、小日向文世はドラマの合間をぬって参加したのか。桐谷健太に関して言えば、出番こそ少ないものの、やっぱり面白いわ。次回は是非ともサイボーグ役で。

Photo_6 ストーリー構成については、冒頭とラストで同じシーンを重複して観客に見せるんだったら、冒頭ではもっと好奇心をそそられるように、ラストでは余韻や感動を生むように、多方面の視点から物語を作るべきだと思った。“魅せ方”は何通りもあったはずである。同じシーンを見せ過ぎである。

最終的に思った事は・・・・別に韓国人に監督を起用してまで作る必要があったのか?ということである。せっかくクァク・ジェヨンがメガホンを取るんだったら、日本・韓国の俳優共演が見たかった気もする。

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2008.07.10

2HT★日本アニメの未来~『パプリカ』『時をかける少女』~☆

いやぁ~参りましたよ。 Photo_11 Photo_12 いやぁ~参った。

最近のアニメの技術は本当に素晴らしい。『鉄コン筋クリート』(マイケル・アリアス監督)にしても、『秒速5センチメートル』(新海誠監督)にしても、背景の細かさ、リアルさには驚きます!!

1997年公開、ジブリ作品『もののけ姫』の大自然の映像描写に衝撃を受け、アニメもここまでリアルになったんだなぁ・・と指をしゃぶっていたのに。

いやぁ~日本のアニメは美しい。

しかし一方で思うのが“綺麗スギル”ということです。

未来都市や妄想世界をアニメ映像とするのはもちろん面白いし、好きなのですが、日常の生活をただただリアルに表現するのでは意味がないと思うのです。

ノンフィクションな内容をアニメ化しているような、映像が綺麗なだけのアニメをちらほら見かける気がします。

現実的、日常的なモノだったら、実写で観たいと思うのは私だけ?

ノンフィクションアニメ(?)なんて存在しないはずなのに・・・・

そういった意味で今月の19日に公開を控える宮崎駿監督最新作『崖の上のポニョ』は期待大です。綺麗過ぎるアニメ映像ばかり見てきた子供達の心をどう捉えていくのでしょう。常に進化し続けるアニメーション技術を今一度見つめ直させてくれるはずです。

さて今回のHTは私のお勧めアニメ作品を自己評価してしまいます。かる~く、かる~くね。Photo

まずは、今敏監督の『パプリカ』!!筒井康隆のSF小説を原作としたアニメーション作品で、SFといっても、現代の歪んだ人間社会と大きくリンクしていて、その世界観には驚きと感激。江守徹の渋い声が、いい、いい。Photo_4Photo_3

今敏監督の作品は好きですね。

今後、日本アニメを世界へと発信し、広めていくためにはこの人の才能がもちろん必要でしょう。世界のアニメーション界のトップ集団を走り続ける注目の人です。  

『パプリカ』勝手に自己評価!!★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

二つ目に紹介するのは、

Photo_5 細田守監督の『時をかける少女』!!未だ観ていない人、実写派でアニメ映画への興味がさほど無い人にも是非お勧めしたい作品です。

これほど、役者の吹き替えで、「声」が「キャラクター」とマッチングしているアニメも珍しいと思う。最近、ドラマ・映画と出演作が続く仲里依紗が演じた紺野真琴、若手の石田卓也の声もPhoto_7 絶妙なフィット。

Photo_6 この作品を見て自分は、アニメーションへの興味が沸きました。湯気出ました。

『時をかける少女』勝手に自己評価!!

★★★★★★★moon2☆☆(10点満点中7.5点)

いやぁ~参った、参った。

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2008.06.08

『アフタースクール』

映画批評43弾!!カンヌ国際映画祭4部門を受賞した内田けんじ監督最新作!!Photo_2 

『アフタースクール』勝手に自己評価!!

★★☆☆☆☆☆☆☆☆(10満点中2点)

期待しすぎたから、驚きはなかった・・・

観客を騙すことに気をとられて、あからさまにイキスギタ演出をしてはいけない。

母校の中学で働いている教師の神野(大泉洋)のもとに、かつての同級生だと名乗る探偵らしき男(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。探偵は、神野の幼なじみである一流企業に勤める木村(堺雅人)の行方を追っていた。木村探しに巻き込まれるうちに、“神野の知らない木村”の生活が明らかになり、事態は予想できない展開へと転がっていく。

長編デビュー作がカンヌ国際映画祭4部門を受賞した内田けんじ監督でしたが、本作では『運命じゃない人』のオッという驚きや、ヘーという新鮮さはなく、観客をどうにかして騙してやろうという気持ちが、知らぬ間に悪い演出として作品の細部に表れてしまった気がします。

Photo_5前作に比べたら当然予算もあるし、実力派(個性も実績もある)俳優陣もキャスティングでき、テレビ局の全面的な宣伝バックアップもある。期待感とプレッシャーで作り手が完成を焦りすぎた気がします。

あれだけ面白い内容なのに、もっと温めてブラッシングしていたら、もっと良くなったはずです。制作日数短かったのかなぁ・・・・

内田監督の脚本・演出は、登場するキャラクター達が観客と同じ“素”の部分を持っているからこそ、作品に角が立って深みが出てくる。

前作『運命じゃない人』の呪縛から抜けられていないのかな。

編集も、今回は『運命じゃない人』とはまったく違った組み立て方をしたかったのでしょうね。大泉洋の素性が分かった中盤ダマシ以降の間延び・・・、そこから畳み掛けるように驚くようなストーリーネタばらしがあると思いきや、それも無い・・・。

前半の演出も納得できない部分がいくつか。

だってあのオチだったら前半の会話のやり取りはオカシイでしょ。木村の家Photo_6 のリビングのあのシーン(堺&常盤&山本圭)、病室の大泉と運転手のやり取り・・・明らかに演出が行き過ぎている。劇中で登場人物が騙しあうだけならもちろん良いが、「騙す相手は観客だ!!」と固執してしまったのか。気にしてしまうのは自分だけかな。

脚本に面白さを期待されると、フツーができないから大変だ。監督もやりづらいでしょう。ストーリー以外の部分を評価されにくいということも否めない。

群像劇ならやはり三谷幸喜が上なのか。先日公開された『ザ・マジックアワー』が楽しみです。

この作品で楽しめた人は『運命じゃない人』も観てみてください。

私は内田けんじが好きなので今後も応援します。

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2008.05.25

1HT●モーガンフリーマンの声『ミリオンダラーベイビー』○

HT=half timeの記念すべき一回目は、1937年生まれのあの人!!

ちなみにHTの内容にジャンルはありません。映画かもしれないし、CMかもしれないし、ペさんかも、ピさんかも、パさんかも、平成ジャンちゃらかもしれません。

今回は最初ということで、なんとなく・・・

○モーガン・フリーマン●Photo_2

最近は2008年5月10日から公開されている、

『最高の人生の見つけ方』でのジャック・ニコルソンとの共演で話題ですね。

このおいちゃんはプライベートではジェット機と船舶操縦の免許を持っていて、ロサンゼルスドジャースの熱狂的ファンらしいですよ。【キネマ旬報6月上旬号 ジャック・ニコルソンインタビューより】

うん、やっぱりこの人は声が良い。濃いコーヒーみたいに渋いんだけど、ミルクの滑らかさが美味く混じっていて、聴いていて耳に心地よいんです。

そこで今回は第77回(2004年)アカデミー賞作品賞受賞『ミリオンダラーベイビー』よりモーガン・フリーマン(本作で助演男優賞受賞)のナレーションで語られてきた作品名言集をバーといきます。

○“ボクサーはタフなだけじゃ足らない”

●“人間は血を好む、車の事故現場を覗き、ボクシングを楽しむ。

だが分かっていない・・・これは尊厳のスポーツ。

人の尊厳を奪い、それを自分のものとする”

Photo_4○“彼はボクシングを理屈じゃないと言う。

人の考えの逆をする。時に最高のパンチは一歩引いたときに打てる。

だが、引きすぎると闘いにならない”

●“自分だけに見える夢に、すべてを賭ける力を持つ”

◎これ長いけどお気に入り!!

“右に出たいときは左に行かず、右のつま先を前に出す

右へ出たいときは左のつま先・・・

人は痛みから逃げるが、ボクサーは自ら痛みを求める。

すべてが逆なのだ”

実際にボクシングの経験がなくても、納得してしまう部分もあるでしょう。少しでも興味を持った方は本編で、モーガン・フリーマンの声を実際に聞いて感じて、浸って、酔いしれてください。

Photo_3 『ミリオンダラーベイビー』ついでに自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

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『パラノイドパーク』

Paranoid_park_2 映画批評42弾!!監督ガス・ヴァン・サント&撮影クリストファー・ドイル最新作!!2007年カンヌ国際映画祭60周年記念特別賞受賞!!

『パラノイドパーク』勝手に自己評価!!

★★☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中2点)

正直、自分には理解できませんでした・・・・

“ただ見つめるだけ”これまで斬新に思えたこの手法に退屈さを感じてしまったんです。

16歳の少年アレックス(ゲイブ・ネヴァンス)は最近始めたばかりのスケボーに夢中になっていた。その日も、少年はスケボーの聖地である“パラノイドパーク”に向かっていた。しかし頭をよぎるのは両親の事や好奇心旺盛な彼女ジェニファーの事ばかり・・・。そして年上の不良グループに声をかけられたアレックスは、スリルを味わうために貨物列車の飛び乗りゲームに参加することになる。そのちょっとした好奇心が、ある悲劇を引き起こすのだった。気付けば、目の前には体の引き千切れた鉄道警備員の姿。不安に駆られながら、普段どおりの日常生活を送るのだったが…。

今回ティーンの不安定な心情をえぐり撮ったのは、前作、主演に若手マイケ ルピッドをキャスティングしカートコーバンの余生を描いた『ラストデイズ』のガス・ヴァン・サント監督。

いやーこの監督、いつまで試作を繰り返すつもりか・・・毎回期待度・注目度は高いのですが、コトゴトク拍子抜けさせられてばかりです。自分には合わないのかなぁ、うーん。

脚本ってどうなってるんでしょう。ガス監督だけが物語の結末を知っているのか、Paranoidpark_2それともスタッフ陣、役者陣も皆理解しながら撮影をしていたのか。あそこでプツリとストーリーが終わってしまうと、その先も気にならないし、答えが無いならメッセージも無いんやろって勝手に思ってしまいます。

思い描かれたストーリーの母体から、映像作品としてある小さなストーリー部分を切り取ったというのならいいのですが、肝心の母体がなく、ただ思い付いたことを無理やりその場その場で繋ぎ合わせていたら、登場人物のバックグラウンドもなければ、ストーリーに前も後も無いですわ。

Photo 映画を観て自分なりに解釈しようとあれこれ深く考える人、登場人物に感情移入して主観的に観る人、どちらの人もこの作品には合わないかもしれません。では、この映画を好きと言う人はどんな人でしょう?きっと優れた感覚の持ち主ですよ。

商品を買ってもらうには、生活者の視点に常に目をむけていなければいけないが、映画は特殊です。TVCMのような制限はないですから・・・・作り手の目的が“売ること”だけではないし、“((観客に)楽しんでもらう”だったり、“(自分で)楽しむ”だったり、“(一人に)捧げる”作品もあるでしょう。

ここ数年のガス・ヴァン・サント映画の魅力は表現に制限がないことです。だから、私はつまらなくても、消化不良に陥っても、新しい作品が公開されるとまた観てしまう。

日本の映画業界も、時々はビジネスと切り離して、クリエーターに制限の無い自由を提供していく余裕があればなぁ・・・と思います。それはある意味で究極の形ですがね、これが実現してしまったら映画は終わってしまうかもしれませんし。

日本の映画文化を生かすのも、殺すのも・・・わたしたち観る人次第でしょう。

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2008.05.24

『フローズン・タイム』

映画批評41弾!!第78回アカデミー賞短編実写賞ノミネート作品 長編映画化!!Photo 

『フローズン・タイム』勝手に自己評価!!

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

これが8点!?なぜでしょうね。でも...スゲー好きなんです、ツボなんです。

完成度は決して高くはないのですが、その“遊び心が粋”です!!

美大に通うベン(ショーン・ビガースタッフ)は、恋人スージーにフラれたショックで不眠症になってしまう。そのおかげで一日が8時間も増えてしまったベンは、余った時間を有効活用するためにスーパー・マーケットの夜間バイトを始めることにする。

そこで働くのは、イタズラ好きの悪友コンビや新入りのカンフーオタク、時間恐怖症のレジ係のシャロン(エミリア・フォックス)とユニーク過ぎる面々。2週間眠れずにいたベンはついに、時間の観念を見失い突然・・・・周囲の世界がフリーズしてしまった。時間の止まってしまった世界を歩き回り、静止画の世界で美を味わう。そしてある日ベンはある女性に再び恋に落ちる・・・・

   監督は写真家のショーン・エリス。ゴルチエやランドローバー、リンメルなどのCMも手掛ける彼が、映像という異なるレンズをはめ込み、時間と空間を見事に止めたのだった。

Photo_5これは映画である、よくありがちな写真家の作る美しいだけの映画ではない。役者人の呼吸が、動きや空間を通じて伝わってきました。

間(空気)で笑いを誘う演出にはびっくり。ユーモアなシーンには「アホくさいなー」と思いながらもクスクスと笑ってしまいました。ウマイですよ、淡々としたストーリー展開と思いきや、中盤から後半まで奇妙なリズムを打ってくるんです。

好き放題やってても、守る部分はしっかり守る、そういった作り手の半紳士な姿勢に共感を持てましたね。

(以下ネタばれあり)Photo_6

気になるシーンはいくつかありましたが、ほぼ許容範囲です。一つ挙げるならば「ナタリーのキャラクターに一貫性が無かった」ことですかね。最後の方です、純粋なイメージが最後の最後で崩れてしまったのは勿体無い。

Photo_8  理由は、元彼女スージー=ナタリーを重ねてしまったこと。あれは必要なかった。あれっ、気にしたのは自分だけかな・・・(笑)

すげー!!感動!!・・・とかいう作品では決してないですよ。それでもこの映画が好きだったら、私と好みが一緒です。

短編バージョンも観てみたいですね。

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2008.04.22

『いまを生きる』

映画批評40弾!!1989年アカデミー賞作品賞&主演男優賞ノミネート作品!!Photo

『いまを生きる』勝手に自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

あなたは何かを感じるか、それとも何も感じないか。

時を経ても色褪せない、ストーリーのリアリティ。劇中のセリフには“生きる”ためのキーワードが宝の山のように隠されている。

1959年、バーモントにある全寮制の名門進学校にやって来た新任の英語教師キーティング(ロビン・ウィリアムス)。破天荒かつユーモアな授業を通して、言葉の真の美しさや生きることの素晴らしさを説く。

そんな教師の魅力に惹かれていった生徒達は、キーティングが嘗て学生だった頃に結成していた“死せる詩人の会”という同好会を自分たちの手で復活させようとするのだった。 真夜中に寮を抜け出す生徒達、彼らそれぞれの人生に素晴らしい光が差し込もうとした時、突然の不幸なニュースが起こってしまう・・・・

今回は少し形式を変えて映画『いまを生きる』を見つめていこうと思う。

というのも、私があるきっかけから、この作品を観て、ある課題で、この作品の感想文を書くことになったからである。

以下の文章はその課題作文の内容を、再度短い尺でまとめ直したものである。

時にはこんな文章も面白いでしょう?

私は真っ暗な部屋の中、ロビン・ウィリアムス主演映画「いまを生きる」(1989)のエンドロールをただ呆然と眺めていた。ロビン・ウィリアムス演じるキーティングが「くそったれ、プリチャートはアホだ」と言い放ったのは本編が開始してからほんの20分足らずだっPhotoた。私はその瞬間この作品に引き込まれていった。

例えば、自分のこれまでの学生生活で出会った数十人程の教師の中で、今もなお記憶に残っているような“言葉“を与えてくれた人というのはほんの数人であろう。

しかし、今思い返せばそれは、学を教えくれた教師側の問題ではなく、それを受け取る私たち学生側の問題であるということを感じた。

Photo_2 もしかしたら、隠れて友人と将棋ばかりやっていた理科の授業で、私の知らない名言が生まれていたのかもしれない。何かと理由をつけて通っていた保健室、白衣を着ていた眼鏡の先生が大事なことを私に伝えようとしていたかもしれない。

そう考えると教師、生徒関係なしに、言葉で自分の心を実際に動かされたという体験は少なく、それだけ人との真の出会いというものが本当に大切なものであるということを実感した。感じるか、感じないかのたった二つの分かれ道なのに、人生を大きく変えるターニングポイントにも成り得るのである。

とても印象に残ったシーンがある。

それはラストシーンでキーティングが教室を去る場面である。『クラスの半分の生徒が机の上に立ち感謝の念を示し、残りの半分は座り込んだまま、彼に背を向けていた』のだ。そして最後にキーティングは彼らににっこりと笑いかけ「ありがとう」と言う。

「人間は多くの人に好かれようとしている。しかし、そんな欲張りなことをしてはいけない。半分の人の記憶に残れれば、それで十分なのだ」

私は初め、邦題を「いまを生きろ」と勘違いしていた。「いまを生きろ」はキーティングのメッセージであるが、キーティングも当然、今を生きている側の人間として描かれている。そして私も、劇中の学生と同じようにその答えを探し続けなければならないのだ。

「いまを生きる」ことはそんなに容易い事ではない、だからこそ幸福や喜びがある。この映画を友人にすぐにでも教えたくなった。

              from 未熟夢人

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2008.04.07

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』

映画批評39弾!!第60回カンヌ国際映画祭オープニング作品!!

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』勝手に自己評価!!

Photo ★★★☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中3点)

距離を様々な角度から描くのは面白いが、プツリと切れてしまう編集法には、意図があろうとも、少し違和感を感じてしまいました。

ウォン・カ-ウァイは日本人寄りの感覚を持ってる、アジア色が滲み出ています。

失恋した私にもう一度恋をする勇気をくれたのは、あなたのブルーベリー・パイでした・・・。恋人の突然の心変わりで失恋してしまったエリザベス(ノラ・ジョーンズ)。フラれた恋人の家の向かいにあるカフェに通いつめるうちに、店のオーナーであるジェレミー(ジュード・ロウ)と徐々に親しくなっていく。ジェレミーはふせぎ込む彼女のために、毎晩カウンター席にブルーベリー・パイを残しておくようになる。ある日、旅立つ決意をしたエリザベスはNYから姿を消す。数ヵ月後、ジェレミーの元に一通のハガキが届く。

過去には『恋する惑星』(94)『ブエノスアイレス』(97)『2046』(04)などヴェネチア、カンヌを始め世界各国で高い評価を受けているウォン・カーウァイ監督の初全編英語作品に豪華キャストが集結。

グラミー賞8冠の栄光に輝いたノラ・ジョーンズが本作で待望の映画デビュー。彼女に想いを寄せるカフェオーナーの役にはジュード・ロウ。脇を固めるのは、アカデミー賞受賞・候補者の実力派・・・ナタリー・ポートマンデイヴィッド・ストラザーンレイチェル・ワイズが名を連ねた。

Photo_5

人々を隔てる“距離の遠さ”を表現したいのは分かるが、その距離を黒いバックに白い数字で表すだけではどうもピンと来ない。ただ短編ストーリーのような内容を無理にはめ込め、つなぎ合わせたりしていないので、物語に隔絶感を感じさせてくれることは確かではある・・・。

ロードムービーとは言えないでしょう。内容には捻りも驚きもありません。単純なメロドラマです。しかしウォン・カーウァイ監督自身が「僕はこの作品を、まさに最初の監督作品と見なしている」といっている位だから、本人的には納得なのでしょうね。確かに原点に立ち返ったスマートな作品と言えるしょう。

前作『2046』の度重なる撮影延期や取り直しの経験があったため、今作品は最低限の準備で低予算映画で挑んだのでしょう。無駄は無い変わりに厚みもありません。Photo_4

それにしてもカメラワークは良かった

映像の美しさはもちろん、ストラザーンが渋い駄目男を演じ、あれだけの哀愁感を醸し出せたのも撮影スタッフの綿密さが後押ししてくれた所以もあるでしょう。ショーウィンドウ、防犯カメラレンズ越しから、映し出される鏡のような視角空間の生み出し方には驚きました。

ラブストーリー好きの女性でも、案外好き嫌いで分かれるかもしれません。

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2008.04.05

『ノーカントリー』

映画批評38弾!!第80回アカデミー賞 4部門受賞!!Photo_6

『ノーカントリー』勝手に自己評価!!

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

この作品を超えるものはしばらく出てこない、本編が始まってすぐに分かりました。

ゾクゾクと込み上げてくる驚喜の泡・・・こんなモンスターヒーローを待ち望んでいたのかもしれない。

変わりゆく80年代のテキサスを舞台に、ヘロイン密売人が絡んだ大金をネコババした凡庸な男が、非情な殺し屋に追われるヴァイオレンスサスペンス。

監督は二つの体に一つの頭を持つと言われるコーエン兄弟。『ファーゴ』(1996)ではカンヌ国際映画祭監督賞に加え、アカデミー賞オリジナル脚本賞も獲得。『オーブラザー!』(2000)では二人で共同し脚本を手掛け、アカデミー賞および英アカデミー脚色賞にノミネート。その独特の演出法から生まれる世界観は多くの映画ファンを魅了する。

メキシコ国境に近い砂漠にて、ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)は銃撃戦後の死体の傍で偶然、200万ドルの大金を発見する。盗んで逃げるという選択肢をとったモスは、雪だるま式に追い込まれていく。追う男・謎の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)は不気味な酸素ボンベエアーガンを携え、モスの行方を容易に嗅ぎ付けていく。事態を察知した保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、2人の行方を追い調査し始めるのだが。

(↓以下ネタばれあり)

Photo モスって無計画で、その上ひとつひとつの行動が結構雑なんです。そこがすごく物語を面白くしている気がします。逃げる男・モスのキャラクター設定が私たち一般人に割と近い視点で置かれているので、“追われている”という独特の緊迫感と恐怖を生み出すこと成功している。

超人シガーVS凡人モス・・・簡単に言うとそんな感じ。Photo_2

殺人鬼シガーは絶対に曲がらないんです。固まった油の棒のようにボッテリとしていて、全身に異様なエネルギーが詰まっているイメージ。彼シガーに少しでも慈悲の心があったら、この作品はこれほどまでに評価されなかったのかもしれないですね。

キャラクターの髪型から細かく演出していくことで知られるコーエン兄弟のこだわりが随所に見られ、これが真の映画なんだ・・・と実感させられました。

あっそういえば、一つ気になるシーンがありました。それは“殺人犬が河に飛び込んだモスを猛スピードで追いかけてくるシーン”。CGじゃなかったんですね。あのシーンは殺人鬼に追Photo_4われる以上に怖い・・・ですね。

本当に衝撃的な作品でした!!

今年は良い映画が本当に多い気がします。映画批評の更新も頑張ります。

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2008.02.16

『潜水服は蝶の夢を見る』

映画批評37弾!!すべてを失くした人間の視線の先にあるものとは!!

Photo_2『潜水服は蝶の夢を見る』勝手に自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆

(10点満点中7点)

瞬きをして観てはいけない、目を見開いて一瞬一瞬を噛締めて感じるんだ。

見終わった後に、心地よい疲れと不思議な充実感が生まれる。

ジャン=ドミニク(マチュー・アマルリック)は目覚めた場所は病室。子供とドライブ中、突然脳梗塞にかかったドミニクはある日から言葉が通じない、身体も動かない状態になってしまう。唯一、動くのは左眼のまぶただけ。つい先日までは、ELLEの編集者として精力的に活躍していたドミニク。看護婦や家族、友人に支えられながらも、次第に彼は明日への光を見つけていく。ある日、編集者が訪ねてきて、ドミニクに自伝を書くように勧めるのだった。

実話を基に『バスキア』『夜になるまえに』の画家出の俊英、ジュリアン・シュナーベルが完全映画化した感動のロマン。

待ちに待っていたジュリアン・ジュナベールの新作は、予想を大きく上回るあまりに衝撃的な映像美でした。観た人は分かると思いますが、この作品はとにかく視覚を刺激します。

主人公との間に、不思議なくらい自然な一体感が生まれてくるんです。Photo_4

感情移入とは違う、体感移入とでもいったらいいでしょうか。それはディズニーのアトラクションのようで、しっかりとした根の張った映像作品なんです。

とても革新的でした、私達のような若い世代には、これまで観てきた映画作品のなかでも類を見ないものでしょう。実際私もそうですから、改めて過去の映画をもっと知るべきだと思いましたね。

左目の瞬きをする間の一瞬の視界だからこそ、そこには無限に広がる幻想的な世界が生まれたのでしょう。

Photo_7 ジュナベールには今年の(第80回)アカデミー賞監督賞獲ってもらいたいですね。

 

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2008.01.25

『キサラギ』

Photo映画批評36弾!!新感覚サスペンスコメディー!!

『キサラギ』勝手に自己評価!!

★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点)

何度も観返したい作品です。

舞台の緊張感を映像で味わえる不思議な感覚でした。

知る人ぞ知る純粋派アイドル如月ミキが自殺をしてから、一周忌追悼会に集まった5人の奇妙な男たち、家元(小栗旬)、オダユージ(ユースケ・サンタマリア)、スネーク(小出恵介)、安男(塚地武雅)、イチゴ娘(香川照之)。如月ミキファンサイトの書き込み常連である彼らは、そこで初めて顔を合わせる。それぞれがオタクポイントを存分にアピールし、そして、5人は自殺した如月ミキへの思い出に花を咲かせ始める。そして、オダユージが突如口にした言葉・・・・「彼女は殺されたんだ」。この発言をきっかけに、男たちが互いを疑い、かばい合う奇妙な推理が始まるのだった。

中盤から一気に加速していくジェットコースターのようなストーリー展開に思わず引き込まれてしまう。

Photo_3演出は相当難しかったはずですよ。

生の舞台だったら観客の反応を見ながら、役者それぞれが機転を利かせて軌道修正できますが、この作品は現場を仕切る作り手の判断が本当に便りです。

一つのボックスの中で延々と撮影し続けるわけですから、缶詰の外からの観客の視点を常に意識して作らないと、下手をすると監督の自己満足作品で終わってしまいます。

撮影期間は1ヵ月もかかっておらず、5人の役者人のクオリティの高さを感じました。難しい状況の中でここまでの完成レベルに持ってきたことが何よりの証拠です。

同じ脚本と監督、キャストを再び揃えても二度と同じ作品は撮れない。そこにこの作品の価値がある。

シナリオがつまらなかったらそこでアウトですから、この作品の原作・脚本を手掛けた古沢良太(脚本『ALWAYS 三丁目の夕日』)は本当に才能に溢れています。今後も注目です。

キャスティングに関してはそれぞれが上手い具合にフィットしてます。はまってます。

あえて指摘するなら、スネークを演じた小出恵介のキャスティングは少し難しかったのかもしれませんね。物静かで真面目な部分が浮かんできて、「テンション上げて頑張ってるんだろうな・・・」という皮を破りきれていない感じが伝わってきました・・・。うーん、佐藤隆太辺りが演じていたら、また違ったスネークが生まれたかもしれませんね。

Photo_7★は6つ、評価は少し厳しめに付けました。

というのも、生の舞台でやればこの題材は数倍面白くなってしまうからです・・・。舞台の臨場感にはかないませんよ。

しかしながら、舞台演出の面白みを映像作品の中で感じられたのはとても感動的でした。うん面白い!!

香川照之恐るべし!!

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2008.01.15

『クワイエットルームにようこそ』

Photo_7  映画批評35弾!!松尾スズキ長編監督作品第二弾!!!

 『クワイエットルームにようこそ』勝手に自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

松尾スズキ恐るべし、侮る無かれ。

変な登場人物がでできても、作品自体は品があり、完成度は限りなく高い。

仕事も恋愛も中途半端な28歳のフリーライター明日香(内田有紀)は、ある日、目を覚ますと見たことも来たことも無い真っ白な壁に囲まれ、真っ白い天井を見上げていた。そこは“クワイエットルーム”と呼ばれる隔離された閉鎖病棟で、ようやく冷酷ナース江口(りょう)から薬物とアルコールの過剰摂取により運び込まれたと説明され、自身の記憶が紐解かれ始めていく。さまざまな問題を抱えた患者たちと出会う中、明日香に見えてきたものとは・・・??

観終わった後になんともいえない心地よさがあって、すごくすがすがしい気持ちになったんです。

ゲロ、注射器、病室、下ネタ、変人など出てくるキーワードを挙げれば、異様で異質な内容であろうと十分に予想できるでしょう。しかしながら、登場人物それぞれがとても繊細で、愛らしくも思えてしまうのが、この作品の凄さ、松尾スズキの演出力の高さです。

内田有紀にはもう一皮向けてほしかったなぁ。

おそらく演じた役どころはとても難しかったと思います。ガサツでうっとおしい女でありながらも、自分自身では正常な人間と思い込んでいる設定ですから、どちらかに転びきれない理由もあったのでしょう。Photo でも・・・想像以上に色っぽかった点は。

新旧カメレオン女優対決は見事でした。「食べたくても食べられない」入院患者のミキを演じた蒼井優、元AV女優で過食症の患者西野役の大竹しのぶ。二人ともちょい役程度でそこまで露出は少ないと思っていましたが、割と見せ場も多く堪能できました。クドカンも演技に嫌味がなく、とても自然体で良かった。

鉄雄(宮藤官九郎)の子分コモノを演じた妻夫木聡は他の役者人と比べても一人浮いちゃっていた気がします・・・。ご存知の通り、爽やかな雰囲気の役は得意でも、ぶっ飛んだアホの役はやはり慣れていないみたいです。この作品を通じて、本人も役者としての新しい視野が広がったかもしれません。

純粋に笑える映画って、最近はめぐり合えてなかったせいか、ところどころ笑えました。大笑いとかじゃなく、クスリという小笑いがたくさん散りばめられている作品です。

観終わってみて思ったのが、映画版『東京タワー オカンとボクと、ときどきオトン』も脚本だけでなく、監督も松尾スズキがやっていたら面白くなってただろうなぁ・・・という無念さでした。

Photo_2  2008年しょっぱなから、こうも面白い映画作品に当たると嬉しいですね。

今年も勝手気ままに楽しめそうです。

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2008.01.13

『ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女』

映画批評34弾!!ディズニー史上最高のスケールで描くシリーズ第1弾!Photo_5

『ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女』勝手に自己評価!!

★★☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中2点)

こんなに薄っぺらい内容にするならわざわざ実写化する必要なし。

映画を観る子供も単純じゃない、つまらないものはつまらない。

第二次世界大戦下のイギリス、戦火から逃れるために、四兄妹は田舎に住むカーク教授の家に預けられる。ある日、かくれんぼの最中に末っ子のルーシーが、布に覆われていた衣裳タンスの中へと身を隠そうとする。すると、毛皮のコートの奥には真っ白い雪に包まれた神秘的な風景が広がっていた。ナルニア国への入り口が今開かれた・・・

今更、どうのこうの感想を述べるのもどうかと思うが、期待通りでした。悪い意味で・・・。

恐らく原作を二時間弱で収めきるには相当苦労したんでしょう。

Photo_3結果的に観る人に何を伝えたいのか理解できなかった。

続編も同じ感じだと、さすがに感受性の豊かな子供にはバレますよ、何だか薄っぺらい内容だなぁ、ハリーポッターシリーズの方が断然面白いじゃんって・・・

この映画で描かれる登場人物の子供って、キャラクターに一貫性がないんです。兄妹の個性も浅いし、キャラ設定も弱いから最後まで印象が薄い。気持ちの変化はあっていいと思います。物語の始まりとラストとを比べてみると、勇気、優しさ、愛情が自然と身についていたりすることです。単純ですが、本当に大切なんです。

特にファンタジー映画などは、登場人物と一緒に成長できるところが一番の素晴らしいところなんですから。

ケイト・ブランシェットが出演してなかったらどうなっていたんでしょう。

作品を通して印象に残っているのは、CGを駆使した戦闘シーンでもなく、ライオンが鬣をなびかせ吠えるシーンでもなければ、ケンカばかりしていた兄妹が助け合うシーンでもない。ケイトが演じた真っ白い魔女の美しさだけでした。Photo_4

次回第二弾は評判がよっぽど良くなければ確実に観ないっすね・・・

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2008.01.10

『ディパーテッド』

Photo_2映画批評33弾!!第79回(2007)アカデミー賞4部門受賞作品!!

『ディパーテッド』勝手に自己評価!!

★★★★☆☆☆☆☆☆10点満点中4点)

日本人には好かれない内容ですね、ストーリーに緻密さがまったく無い・・・

スコセッシ以外の監督が作っていたら多分納得できなかったでしょう、恐らくただのB級映画になっていたはず・・・

舞台はマサチューセッツ州ボストン、犯罪者の一族に生まれたビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)は、自らの暗い生い立ちと決別するため警察官を志し、優秀な成績で警察学校を卒業する。しかし、警察に入るなり、彼はマフィアへの潜入捜査を命じられる。一方、マフィアのボス、コステロ(ジャック・ニコルソン)にかわいがられて育ったコリン・サリバン(マット・デイモン)は、内通者となるためコステロの指示で警察官になる。Photo_3やがて、コリンはマフィア撲滅の最前線に立つ特別捜査班に抜擢され、コステロを標的とした捜査活動に加わることになるのだが・・・。

ラストシーンは納得です。

スコセッシならではの観客を突き放すようなあっけなさにはさすがの一言でした。ただストーリー全体を通して、ハラハラとか、ドキドキとかはまったく無いですね。

Photo_4警察、マフィア双方ともに内通者の存在をかぎつけ、いよいよ2人は窮地に追い込まれていく緊迫のシーンでも、シナリオに緻密さがないから登場人物の心理状態もあまり伝わってきませんし・・・感情移入も当然無理です・・・

カット割りの雑さ、テンポの悪いストーリーはスコセッシの表現スタイルであって、恐らく戦略通りなんでしょうね。この作品が好きな人って相当映画が分かる人だと思います。私的にはスコセッシ作品は『タクシードライバー』(主演:ロバート・デニーロ)以来ヒットは無いですけどね・・・。

B級映画の一歩手前で留めることができるのはスコセッシくらいでしょう。中途半端な映画は普通好まれませんが、スコセッシだとなんだか不思議としっくりくるんですよね。私は、このようなB級映画でもなく、上手い具合に中途半端な領域を保っている作品のことをスコセッシゾーンと呼んでいます。

Photo_6

もうそろそろスコッセッシ&デカプリオのコンビは解散してもいいんじゃない でしょうか。あんまりしっくりきてない気がするんです・・・この二人は。

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2007.12.28

『サイドウェイ』

映画批評32弾!!第77回(2005)アカデミー脚色賞受賞作品!!Photo_2 

『サイドウェイ』勝手に自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

ユーモアなキャラクターにジワリジワリと笑わされてしまう。

上質なコメディーを見せられてるようでした・・・

作家志望のマイルス(ポール・ジアマッティ)といまや売れない過去の役者のジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)は、ジャックの結婚決定の祝いを兼ねてカリフォルニアのワイナリーを巡るとりとめのない旅に出発することになる。ふさぎがちで自己嫌悪の強いマイルスと、女性と寝ることしか頭にないジャック。こんなふうに旅の目的も性格も大きく異なる中年の2人・・・さて旅の行く末はどうなるものか?

監督は『アバウト・シュミット』(ジャック・ニコルソン主演)のアレクサンダー・ペイン。主人公のワインを愛するダメ男マイルス役には『アメリカン・スプレンダー』のポール・ジアマッティ。老中ウディ・アレンも注目しているというアレクサンダー・ペインの演出力は見所十分。久々に腹を抱えて笑ってしまいました・・・

Photo_3 品のある中にどうしようもない下品さがあって、これが作品全体にピリッとしたスパイスを与えている。

確かに後味の悪さもありますが、これだけ素晴らしい演出だと納得してしまうんです。きっとすべての演出が監督の計算のうちなんだろうと・・・

まったく正反対の性格を持った二人の登場人物を、セリフ回し以外に、カメラワークによる映像表現によってそれぞれのキャラクターに異なる印象を生み出しているのがとても面白い。

私の中では久々のヒットです、 笑いのツボに見事に入りました。4_2

作品の内容は、男の気持ち・言動を実にうまく表現しています。実際のところ、男の友情ってこんなもんなんです。どうでもいいようなことを言い合って、笑い合うときが人生でもっとも幸せなヒトトキなのかもしれません。

女性にはまったく分からないような男の行動ってあると思うんです。急に走り出したり、不機嫌な態度をとったりとか・・・。男性目線で作られている作品なので基本的には男性向けですが・・・男心の理解に悩んでいる女性にはお勧めの映画です。理屈ではない男の本能が巧みに描かれています。

サイドウェイ=寄り道。

久しぶりに地元の友達と酒を飲みたくなりました。

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2007.12.17

『バスキア』

Photo 映画批評31弾!!80年代のホットなNYアートシーンを描いた伝記映画!!

『バスキア』勝手に自己評価!!

★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点)

芸術を映画という枠組みの中で表現する難しさ・・・。

映画とアートは別物だが、うまく融合できないわけでもないと知った。

喫茶店のウェイトレス、ジーナの部屋に転がり込んでいた黒人ストリート・アーティストのバスキア(ジェフリー・ライト)。美術評論家ルネに注目されたことから、アンディ・ウォーホルに認められ、一躍有名になっていく・・・。しかしその天才的な発想とは裏腹に、さまざまな苦悩を抱え込み、やがてドラック中毒で27年という短い生涯を終えてしまう。この主人公画家ジャン・ミシェル・バスキアの人生を、レヒ・マジュースキーの原案にマイケル・トーマス・ホールマンが手を加え、バスキアの親友でもあり、本作が初の映画作品となるアート界の天才、ジュリアン・シュナーベルが監督・脚本を務めて映画化した。

この作品は実在した画家の歩みを題材にしているんだけど、画よりも人物が際立っているところがすごく良い。

とても自然なんです・・違和感や無理がない。

役者人も、バスキア役に初の映画主演作となるジェフリー・ライト、愛くるしい笑顔にはなぜだか無性に惹き付けられました。そして「21グラム」のベニチオ・デル・トロ、、「レオン」のゲイリー・オールドマン、「ヘアスプレー」のクリストファー・ウォーケンなど、私の大好きなキャスト陣が、脇をクールにそしてがっちりと固めていることが嬉しい。Photo_2

劇中に使用されている美術画、装飾画は監督自身がすべて手掛けたもので、作品の雰囲気と深い部分でマッチングしています。

映画として映像作品として作り上げるという、しっかりとしたこだわりを持ち、ただ単に画を綺麗に見せようとするのではなく、人間と人間とを繋ぐ見えない糸をストーリーの中に張りめぐらせています・・・。

Photo_3 芸術を題材とした作品という割に、感覚だけで撮ったような、遊び歩いている内容でもなく、シンプルなんだけどしっかりと軸をぶらさずに丁寧に仕上がっている。

観る前の期待を大きく上回りました。

映画作品としての内容はともかくとして、この作品の雰囲気はとても好きです。

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2007.12.10

『ロストハイウェイ』

映画批評30弾!! リンチの脳内解体ショーへようこそ!!Photo

『ロストハイウェイ』勝手に自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

グレート!!ずっと観たかった、やっと出会えた。

変態もこの極地まで達してしまうと、脱帽です・・・

妻レネエと平凡な生活を送るサックス奏者のフレッド。ところがある日、ディック・ロランドは死んだ、と誰かがインターフォンで謎のメッセージを告げた。やがて一本のビデオ・テープが届く。そこには、妻をバラバラに切り刻む彼の姿が写っていた……というオープニングから日本のホラー映画であったようなストーリー展開で始まっていく・・・

鬼才デヴィッド・リンチ監督が復活と再生を遂げた1997年度の作品。リンチ映画の最高傑作という呼び声も高く、突き放すような理解不能の映像描写で私達視聴者を知らず知らずうちに覚醒の海へと引きずり込んでいく。

心因性記憶症をテーマに描いた本作だが、全体を通してリズムはさまざまな形で変化していく。ポップな青春ものから、カラカラと乾いた狂気的なカーレース、サスペンスとバイオレンスは恐ろしいほど物語全体で均衡のとれたバランスを与えている、そしてリンチ映画にはお決まりとなったヒステリックなエロス要素も健在。さまざまな要素を含む映像の塊が、ぐるぐるとメリーゴーランドのように円を描きながら移り変わっていく。

理解しようとするのは大事だけれど、理解できない悶々とした状態を楽しむこともできる作品です。自分なりに解釈して納得できればいいんじゃないですかね。この作品には色んな接し方、触れ合い方があります。

Photo_2 ただ・・・登場人物に感情移入するのは難しいです・・・。

よく最近の映画で、時間軸を軽い気持ちでいじって、単に視聴者を惑わすためにストーリー内容を複雑にしているのを見かけます。そういう作品に関しては、“編集の遊び”までの次元でとどめてほしいです。やっぱり“単純な分かりやすい内容の映画”って一番難しいと思うんです。

偽りのない真に迫ったアプローチをしないと、観客は飽きてしまいますから。そういった点で考えてればこの作品はまったくの例外です。

編集の遊びなんて生易しいものじゃないですから・・・。脳への強行訓練です・・・。

しっかりと万人が納得できる答えを物語の終着点に置いているところがまた憎い。一本の道を歩かせることはせず、その場面その場面の観客各々の思考次第でゴールへの道は右へ左へ、上下、縦横と変更されていくんです。映像や音楽による視聴者への感覚の刺激の強弱というものも大きく作用しています。 巧みですよね、相当緻密で根気のいる作業ですよ。Photo_4 素晴らしいの一言です。

最近の日本映画はどうも否応なしに脳を刺激してくるような内容のものが少ないと感じます。

タブーを犯すことは、時として人々の欲望と願望とを分ける美しい境界線を実像化して表現することができるんですね。

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2007.11.28

『タロットカード殺人事件』

Photo映画批評29弾!!ウディ・アレンのロンドン作品第二弾!!

『タロットカード殺人事件』勝手に自己評価!!

★★★★★☆☆☆☆☆10点満点中5点)

これだけナルシストな監督も珍しいですよ。

スカーレット・ヨハンソンのむっちりエロスは魅力満点です。

舞台はロンドン。ジャーナリスト志望の学生サンドラ(スカーレット・ヨハンソン)は、たまたま遊びに行ったマジック・ショーで、たまたまイリュージョンの実験役にされ、亡くなったばかりの著名な新聞記者ストロンベル(イアン・マクシェーン)に出くわし、彼に「ここ数年のタロットカードを残す連続殺人の真犯人は貴族のピーター・ライモン(ヒュー・ジャックマン)で、ジャーナリストのお前がこの真相を究明しろ!!」と伝えられる。真相を聞かされたサンドラは、渋るシド(ウディ・アレン)に協力させながら、ホテルのプールで溺れるフリをしてピーターに接近していく、しかし気付けば、急接近しすぎていて・・

邦題「タロットカード殺人事件」でサスペンスものだと勘違いして劇場に足を運んだ人は少なからずいたはず・・・。しかしこれはある種、巧みなマジックで、実際の題は「SCOOP」

いずれにせよ、驚くようなトリックや意表を突かれるアドリブ工作もありません。目を覆いたくなるような殺害シーンもなければ、あおむけになった死体の姿も一切でてこない。ましてや、素人が分からないような専門用語も一切出てこない。

Photo_4

出てくるのは息をつく間も与えずにただただ皮肉とユーモアを交えたマシンガントークを続ける年老いた小柄なおっさんウディ・アレン。そしてゆるさ全開で野暮なワンピースに身を包み、メガネが妙に似合うおばはん女子学生スカーレット・ヨハンソン。

この映画はあくまでコメディーです。

内容は、アレン、アレン、スカーレット、アレン、スカーレット、アレン、ヒュー・ジャックマン、アレン・・アレン・・・みたいな映画です。むっちりスケベな役どころは監督お気に入りのスカーレットに渡し、自分はアドリブのセリフで好き勝手に劇中に登場しまくる。しまいには物語のオチだってかっさらっていってしまう始末・・・。

Photo_5

ウディ・アレンは本当にナルシストですね。

物語の展開は、初めからゴールのわかっている迷路を、ウディ・アレンが意図的に作り上げたレールに沿いながら進んでいく感じです。

ウディ・アレン好きにとっては期待通り、満足できる内容に仕上がっています。しかし彼が嫌いな人には多少の苛立ちは生まれるかもなぁ・・・私的にはウディ・アレン監督作品は、彼自身が出演してない作品の方が幾分サッパリするので好きです。マッチポイントは素晴らしい出来でしたから。

●『タロットカード殺人事件』(イギリス&アメリカ/2007監督:ウディ・アレン  

出演:スカーレット・ヨハンソン 、 ヒュー・ジャックマン 、ウディ・アレン、イアン・マクシェーン

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2007.11.19

『ハピネス』

Photo 映画批評28弾!!1998年ゴールデングローブ脚本賞ノミネート!!

『ハピネス』勝手に自己評価!!

★★★☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中3点)

いやぁ~フィリップ・シーモア・ホフマンはホント最高ですね。

今作品で取り上げたテーマがたまたま好みじゃなかっただけで、監督の才能は認めます。

いたずら電話で妄想に勤しんでいる汗っかきのデブ男、少年レイプ魔のパパ、生き方の違う個性的な三姉妹を取り囲む人々にスポットをあて、アメリカの郊外に生きる人々の心の奥底にあるドロドロの欲望を静かに浮かび上がらせる内容である。常軌を逸した彼らの行動が妙に説得力があり、リアリティを感じてしまうから不思議である。

監督をつとめたのは過去に、サンダンス映画祭グランプリを受賞したインディーズ映画界の鬼才トッド・ソロンズ。ズラリと揃ったクセモノ俳優たちのリアルな演技も光っている。そこらじゅうに毒気であふれているのに、登場人物たちに対する視線はどこかやわらかい。ブラックユーモアを交えた神経を逆なでするようなエピソードを、ユーモラスに表現している。

ただ・・・笑えない下ネタって一番しんどいです。観ていてよい心地がしない。

この作品は「性」に関する屈折したテーマを物語の一要素として取り挙げ、人々の性への葛藤や欲望を描いているので、そういった部分から考えれば、これはブラックユーモアなんだ!!って開き直られたら仕方ないと言えば仕方ないんですが、私から見るとどうしても、芸がないって感じちゃうんです。

テレビに映る芸人を見ていても、笑えない下ネタを言った時、その場の空気は恐ろしいほど凍りつくことがありますね。周りの芸人仲間からも「それはねーよ」みたいに厳しい野次を飛ばされている光景も何度か見かけます。しかし時と場合によっては、どっと笑いを引き起こす事もあるのだから難しい・・・ちょっとしたサジ加減の違いでその効力は大きく変わってしまう。

その点で考えてみても、この作品のフィリップ・シーモア・ホフマンの変態さにはなぜだか愛嬌があって、微笑んでしまいますから不思議ですよね。この役者の演技は本当にすごいですよ。

しかしながら、この監督には未知数の才能を感じます。

ストーリーや映像で魅せるのではなく、空気感でPhoto_2映画全体の形を創りあげ、観客を薄っすらと異質な雰囲気に包み込む。登場人物たちのみょうちくりんなセリフのやり取りから生まれる何ともいえない空気感が絶妙なんです。

今回は評価を厳しく付けましたが、この監督は要注意です。題材次第ではいつの日か満点をたたきだす可能性を感じさえします。活躍に期待しましょう。

●『ハピネス』(1998/アメリカ/134分)

監督、脚本:トッド・ソロンズ

出演: フィリップ・シーモア・ホフマンディラン・ベイカー

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2007.11.16

『ヘアスプレー』

映画批評27弾!!ミュージカル映画史上NO.1のオープニング記録樹立!!

『ヘアスプレー』勝手に自己評価!! Hairpraymovie_p_2

★★★★☆☆☆☆☆☆(10点満点中4点)

楽しめる人と、楽しめない人とに二極化する作品。

私の場合、期待した分だけ自制心が反発してしまいました・・・

音楽とダンスに夢中な、少しBIGサイズの女子高生・トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)は、あるきっかけで10代の子供たちに大人気の地方TV番組「コーニー・コリンズ・ショー」のオーディションに合格して、一躍シンデレラガールになる。しかし美人でスリムなライバル母娘が仕掛けた罠からトラブルに巻き込まれ、やがて指名手配までされてしまう始末・・・・果たしてトレーシーを待ち受ける運命は?ラストの結末とは一体?

口コミでも話題沸騰中のこの作品は、ジョン・ウォーターズ監督の『ヘアスプレー』('87)を原作に舞台化し、2003年度のトニー賞で8部門を獲得した大人気ブロードウェイ・ミュージカルを再映画化したコメディ・ミュージカル映画。

相当期待して映画館に足を運びました。いざ上映スタートし、オープニングからいきなりのアップテンポなメロディーにさらなる高揚心・・・「よし思いっきり楽しむぞ」と普段はローテンション続きの私もハイモードに切り替える態勢を整えました。

しかし・・・

「あれ・・・あれ・・・」とスクリーンを前にいまいちノリきれない自分。そして決して探求してはいけないストーリーを消化しながら、そのままテンションも下降ぎみにエンディングへと突入。Photo

劇場を去りながら、思わず連れに聞いてしまいました。

「面白かった・・よね?」って・・・

何にも考えないで気楽に観れる作品なので、テンションに付いていけた人、思い切り楽しめた人にとっては十分に満足できる内容です。リズミカルな音楽を聞いて、迫力のダンスを見て、元気をもらった人もいれば、日頃のストレスを解消できた人もいるでしょう。

(↓以下ネタばれあり↓)

実際、劇中に登場する音楽はどれも良い曲ばかりでした。こういう音楽を、毎朝通勤電車の中で聴いたりしたら、心も晴れ晴れとして毎日が楽しくなるはずだと思ってしまいます。ただ、映画作品としてスクリーン映像でみせられると、なぜだか楽しめないんです。

それは単純に、生の舞台で実際にダンスや歌声を肌で感じることと、映像として編集された完成品を見せられることとを比較すると、どうしても後者の方が劣ってしまうからです。しかしそうはいっても、ミュージカルを映画作品として作ることにも大きな利点もあります。

たとえば、ストーリー自体に濃さを与えることでです。舞台では表現できないストーリー展開を、映像として「魅せていく」こと。映画は映像です。好きなように編集も出来れば、背景で用いる装飾品、ロケ地にだってこだわれる。ましてや有名な映画俳優も起用できるんです。

Photo_2この作品『ヘアスプレー』の私の不満部分は大きく言って2つあります。

1つは、舞台ミュージカルの流れをそのまま映画作品にしてしまったことです。

劇中の5分の4は歌をまじえてのダンスシーン、つまりミュージカル部分。さすがに1曲1曲があれだけ長いと飽きてしまいますし、セリフのあるストーリーに比重をもっと置いてほしかったです。せっかくキャストが実力派演技派のツワモノ揃いなんですから。

結果として、音楽の質の高さと、勢いが功を奏した気がします。歌が良くなかったら、皆さんの評価も大きく変わっていたでしょう。

2つめは、ストーリーにはめ込んでいった曲の順番とパフォーマンス。つまり編集と演出の部分です。

曲順に関しては、中盤から後半にかけての時間帯に、バラード調の曲を連続で入れてしまったこと。あの時間帯にスローテンポの曲を入れられてしまうとちょっとキツイですよ。冒頭から中盤にかけて相当ノリのいいハイテンションな曲を続けてしまったたけに、途中からあからさまにしっとりテンポで来られると、違和感を感じてしまいます。せっかく上がってきたテンションも、我慢できない苛立ちに替わってしまう。1曲の持ち時間が長いんだからなおさらです・・・

この作品の雰囲気から考えて、バラード曲はなるべく少なくし、アップテンポな曲の隙間に上手に埋め込んで、最初から最後までハイテンションで押し切ってほしかった。「聞かせどころ」と「見せどころ」を、作風に応じて強弱をつけ、バランスをとっていくことも編集の重要部分です。

まぁ私がせっかちっていうこともありますがね(笑)

パフォーマンスに関しては、全員綺麗に収まりすぎですよ。完璧すぎます。ダンスや歌にも詳しくなくて、皮肉れものでもある私からしてみれば、ミュージカル映画に完璧さは求めていないんです。映画なんですから、演技なんですから・・・。

全員のダンスが上手く揃っているのを見て、感動で胸を打つのはあくまで肌で感じる生の舞台の特権です。映画で踊るのは演技をする役者なんですから、全員が両手を広げ、高く飛び跳ねる部分でも、その登場人物のキャラクターによっては振り付けを勝手に変えてしまったり、多少周りとはズレた動きをしてもいいと思うんです。

この作品の目玉でもある女装姿のジョン・トラボルタが踊るラストシーンも、何かアドリブでもするんかなーって期待してたんですが、めちゃくちゃ真面目じゃん。いかにも練習しました頑張りましたみたいな・・・。あそこはカツラをはずして吹っ飛ばしてしまっても、私的には全然アリです。

まぁなんだかんだ難癖をつけてしまうのも、作品を純粋に楽しめなかった、ノリ遅れてしまった腹いせなのかもしれませんね。これだけ明るい元気な映画もたまにはいいでです。皆さん何にも考えないで気楽に、思う存分楽しんで観ましょう。

これまでにはない押し寄せる波のようなハッピーな映画です・・・よ?

Photo_11   

←若手出演陣の記念撮影

●『ヘアスプレー』(2007/アメリカ/116分)

監督:アダム・シャンクマン

出演:ジョン・トラボルタ 『パルプ・フィクション』 、ミシェル・フィファー 『I am Samアイ・アム・サム』、クリストファー・ウォーケン 『キャッチ・ミー・イフ・ユーキャン』 、ザック・エフロン 『ハイスクール・ミュージカル』 他

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2007.11.14

『カノン』

Photo_4 映画批評26弾!!キャスパー・ノエ監督の初長編映画!!

『カノン』勝手に自己評価!!

★★★★☆☆☆☆☆☆(10点満点中4点)

人間の持つマイナス・エネルギーを凝縮した映画

この作品でフランス人はよく笑うらしい、私もなぜだか笑ってしまった・・

自ら経営する馬肉店を失った男(フィリップ・ナオン)はカフェの女主人(フランキー・パン)の愛人となり、女主人はやがて妊娠。カフェを売却して片田舎へ移り、生活をやり直すことにした。ちょっとしたいざこざから男は女主人の腹を殴りまくり、銃だけを手にパリへ舞い戻る。無一文同然の男は職探しに明け暮れるが、かつての友人や取引先からは冷たくあしらわれる。有り金をはたいて出かけた居酒屋でもからかわれ、追い出される始末・・・。男は居酒屋にいた客たちに、かつての友人たちに、憎悪の矛先を向け、銃殺してから自らも自害しようと考える・・そして大きな決心を胸に、施設に預けられていた娘シンシア(ブランディーヌ・ルノワール)へと会いに行くのだった。

さぞグロテスクで、ヴァイオレンスな作品なんだろうと思っていたが、ある意味当たっているようで、まったく違った内容に驚いた。灰色がかったクリーム色のねっとりとした色で統一されており、一見そっけなく見える映像には力強いインパクトがある。

「すばらしい映画でした」とは間違っても言えない、よどみきった登場人物の感情の呼吸に、私達観客は息苦しいほどの苦痛と不快感を感じてしまうでしょう。しかし、なぜか可笑しくて笑ってしまうんです。

Kanonn 主人公のおっさんのあまりにも身勝手なモノローグには本当にイライラするけど、観終わった後になんだかすっきりするんです。空気の汚れた小部屋の窓をガバッと開けて深呼吸するような。ああ生きてる・・まあ明日からもがんばってみるか、こんなにも騒々しい世の中だけど、なんか面白いことであるかもしれない・・みたいな気持ちになる(少し大げさだけど)

この作品を観て、フランス人はよく笑うらしいです。

主人公のおっさんのダメ男ぶりは、人はみな共通に持っている感情で、そのダメさ加減が強いほど身勝手なほどに笑えるらしい。つまり、自分自身つまらない失敗も、このおっさんのじめじめした不幸に比べたら大したことないな・・って安心するんです。

それにしてもポスト・ヌーヴェル・ウォークの位置にいるこのキャスパー・ノエという監督はどんな男なのだろうか。『カルネ』と『カノン』のたった2本の劇場映画監督の経歴だけでこれだけの評価をうけているのだから、才能は確実にありますね、マイナスーエネルギーに満ちた救いのない作品の中に、不思議と魅かれる部分はありますから。Photo_2

この作品は、ダウンタウンの松本人志が天井につくほどの高評価を下した作品ということでも話題ですが、この映画を楽しんで見れる人って、映像表現に対する感覚がとても過敏で、どこか世の中を冷静に見渡せる余裕を持っている人だと思うんです。

その点で私はまだまだですね・・この作品の面白みがまだ理解しきれていないですから。

● 『カノン』 (1998/フランス)
監督: ギャスパー・ノエ

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2007.11.10

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

映画批評Photo_225弾!!リリーフランキー原作、オダギリジョー主演の話題作!!

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』勝手に自己評価!!

★★★★★☆☆☆☆☆10点満点中5点)

感心するほど忠実に、丁寧に作られた映画。

私の中で、樹木希林は今年度の日本の助演女優賞決定です・・・。

1960年代。3歳のボクは、真夜中に玄関の戸を蹴破って帰ってきた酔っぱらいのオトン(小林薫)にいきなり2串の焼き鳥を無理やり食べさせられてしまう。オトンに手を焼いたオカン(内田也哉子)はボクを筑豊の実家に連れ帰り、妹であるおばさんの小料理屋を手伝いながら、女手一つでボクを育て始めるのだった。やがて故郷を離れ上京するボク(オダギリジョー)。ぐうたらな生活を続けながらも、やがて仕事を見つける。そしてボクはオカン(樹木希林)を東京に呼び寄せ一緒に暮らすこと決意する・・・

これまでの松岡錠司監督の作品って正直言ってあんまり好きじゃなかったんです。『さよならクロ』にしたってあの生ぬるい空気感がどうしても耐えられなかった。しかし、今回の作品は割と上手くいきましたね。なんとか許容範囲です。

役者陣の熱演に助けられた部分はもちろんあると思いますが、原作の強い世界観を自分のスタイルの中にはめ込み、松岡監督らしい息を優しく押し殺したような作品に仕上がっている。おかげで松尾スズキ特有の脚色は薄まりましたが、ストーリー内容がら考えると結果オーライかな。

作品全体の雰囲気としては、日記のページをゆっくりと1枚1枚めくるような感じです。

それだけに142分の長時間だとやはり飽きてしまいます。登場人物それぞれに同じだけの見せ場をつくり、幼少時代からオカンとの死別までのシーンも、均等な配分時間で振り分けているような印象を受けました。丁寧な演出すぎるゆえに、多少の違和感も抱いてしまったのは事実です。

淡々とした雰囲気に、「あれ見せ場ってどこ?」って思わず聞いてしまいたくなります。作品のインパクトは登場人物の個々のキャラクターによって付加されています。

この作品は役者ありきで成り立っています。押すでもなく引くでもない絶妙なバランスで、愛らしいオカンを演じた樹木希林は本当にすばらしかった。さすが大ベテランです。まだガンが完治しきっていない時、ボクが執筆した本が届き、電話越しに告げる言葉・・・「ありがとうございました・・・。」丁寧な言葉使いで深く頭を下げ微笑む場面はとても印象的でした。

Photo_2 樹木希林、小林薫、オダギリジョーのやり取りもとても見事で、3人が1つの画面に映し出されたときのなんとも言えない温かな空気感には吸い付けられました。

感動を求めてはいけません。やさしい作品の雰囲気に触れ合ってみてください。

●『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007/ 日本 /142分)

監督:松岡錠司 

原作:「東京タワー」リリー・フランキー

脚本:松尾スズキ

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2007.11.06

『ディスタービア』

Photo_3 映画批24!!全米10週トップテンの話題作!!

ディスタービア』勝手に自己評価!!

★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点)

細かい事は考えず・・・娯楽映画として軽い気持ちで観たらなかなかおもしろいです。

こんだけ好き勝手な内容なのにストーリーの流れに不自然さを感じないことに驚く。

最愛の父親を事故で亡くして自暴自棄になったケール(シャイア・ラブーフ)は、学校での暴行事件により、3ヶ月間の自宅軟禁処分を言い渡される。半径30メートルを超えると警察に通報される監視システムを足首に取り付けながら抑制された生活の中で、退屈しのぎに何気なく近所の覗き見を始めることにする。やがて、窓の外に見える光景に好奇心を抱き始めたケールは、隣に越してきたアシュリー(サラ・ローマー)とも親しくなり、親友のロニー(アーロン・ヨー)を交えた3人で、「覗き見ゲーム」にのめり込んでいく。そんなある日、ケールは血まみれのゴミ袋を引きずる人影を目撃する。それは、決して遊び半分では済まされない、最悪のシチュエーションの幕開けだった…。

題材としては、ヒッチコック監督の『裏窓』やアントニオーニ監督の『欲望』にも代表される「覗き見」映画。監督本人もこれまでの名作映画の良い要素を取り入れ、現代版として新しくリメイクしようとしている印象を受けた。

望遠鏡で男女が窓の外を除き見る姿なんて、『裏窓』の1シーンを切り抜いたかのように酷似してます。

確かに新感覚のスリラーではあります。Photo_4というのも、前半部分の微笑ましいほどにポップな青春ドラマのようなテンポから、後半部分に向かうにつれて畳み込むようなスピードでスリリングな展開に切り替わっていく点ではとても新しいからです。

ラブストーリーとサスペンスを半々で混合させたような映画です。私は比較的自然に観れましたが、違和感を感じる人も当然いるでしょうね。

少ない違和感で観れたのは、スピルバーグも絶賛したという脚本の力です。間違いなく。シャイア・ラブーフの演技力など、この作品の是非にはまったく関係してない。ヒッチコックの作品の概念を現代のめまぐるしい情報社会とリンクさせ、物語の中に落とし込ませた原案者の発想がまあ良かった。

しかし・・・アメリカ映画も相当追い込まれてますね。完全に映画のネタに困っています。普通なら駄作となってしまうような青春ラブサスペンス作品が全米でヒットしてしまう現状にまで来ているとは・・・。

(以下ネタばれあり)

細かい部分を指摘するとしたら、冒頭の西日が差し込むほのぼのとした川釣りのシーンから、突然訪れる父親の悲劇的な死・・・・これがそのあとの展開に生かされていたらよかったが、物語の単なる繋ぎにしかなっておらず、あまりにも軽薄すぎな印象を受けた。Photo_5

たとえば、事故死の原因が例の隣家に住む殺人犯のおっさんだったりしたら面白いのになぁ(もしかしたら私が見過ごしていただけで、本当はそういう設定だったかもしれない。これから劇場で観る人はチェックしてみて下さい)。中途半端は一番つまらないです。

深くは考えず、軽い気持ちで観てみよう。そしたら十分に楽しめます。私的には『トランスフォーマー』より好きです。

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2007.11.01

『過去のない男』

映画批評23弾!!2002年カンヌ国際映画祭グランプリ・主演女優賞ダブル受賞!!

『過去のない男』勝手に自己評価!!Photo_5 

★★★★☆☆☆☆☆☆(10点満点中4点)

あきれるほどの世界観・・・真面目か?不真面目か?

分からない、それでもいい気がした。

ある日列車に揺られ、夜のヘルシンキに流れ着いた一人の男(マルック・ペルトラ)。公演のベンチで夜明けを待っていた彼は突然暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負う。病院で奇跡的に意識を取り戻すが、過去の記憶を全て失ってしまっていた。自分の名前すらも分からない彼に、コンテナで暮らす一家が手を差し伸べ、男は彼らと共に穏やかな生活を送り始める。

そして救世軍からスープが振る舞われる金曜日。コンテナの主人に連れられ支給場所男に行った男は救世軍の女性イルマ(カティ・オウティネン)と運命的な出会いを果たすのであった…。

感情を押し殺した無表情な登場人物たち、「ハンニバル」という名の愛らしいメス犬、歌うバアサン・・・どれもこれも少し間抜けに見えてしまう。しかし、乾いたユーモアなやり取りが物語全体に哀愁を生み、最終的に温かい優しさで私達を包み込む。アキ・カウリスマキ監督はさすがである。

絶対的な影響を受けた小津安二郎の、交わらない視線とその延長線上の会話のやり取りも時折見られて感動した。日本人のツボを、現代の日本映画監督以上に分かっているのかもしれない。

内容に関しては終始苦笑いでしたが・・・酒でも飲みながらもう一度ゆっくり観たい映画ですね。カウリスマキ映画には今後も懲りずに挑戦し続けたいです。Photo_6

「人生は前にしか進まない。」 

実にいい言葉だ。

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2007.10.25

『さくらん』

映画批評21弾!!フォトグラファー蜷川実花初監督作品!!Photo_3

『さくらん』勝手に自己評価!!

★★★☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中3点)

想定の範囲内の出来栄えでした・・・

『大奥』観るならまだこっちのほうがいいかも。

吉原の玉菊屋に連れてこられた8歳の少女。きよ葉と名付けられた彼女は、高級花魁・粧ひに面倒を見られることになった。玉菊屋から何度も脱走を試みるきよ葉だったが、粧ひに導かれるように吉原一の花魁を目指す事を決意した。やがて17歳となったきよ葉は、美貌と鼻っ柱の強さで一躍江戸中の注目を集める存在になっていく・・・

本作で初監督を務めたのはフォトグラファーの蜷川実花。本人たっての希望から安野モヨコ原作の人気漫画を完全映画化した。主演には土屋アンナ、脇を固めるキャストには木村佳乃菅野美穂夏木マリ安藤政信成宮寛貴永瀬正敏ら豪華俳優人を集結させた。音楽は椎名林檎が担当。

1番印象的だったのは身体を張った女優キャスト陣の演技でした。あそこまでやる価値がこの作品にあったのかはしばし疑問でしたが、強い女優魂を感じました。

女性が監督する映画って役者人のこれまでとは違った一面を見出したりするので、時々驚かされます。

日本のソフィア・コッポラなどともてはやされているのを聞きますが、ソフィア・コッポラのデビュー作『ヴァージンスーサイズ』(出演:キルスティン・ダンスト)がとても完成度が高かっただけに同じ映画初監督作品として比べてしまうと、完全に力量不足でした・・・

ただ今後の活躍は大いに期待出来ると思います。今作品でも彼女の写真家としての色が、動く映像になってもうまく還元できている部分はありましたから。

美術、衣装、装飾品、色彩にこだわり伝統的な江戸の世界を華麗に描こうとしているわりには、ところどころでありきたりなCG処理に頼ってしまっていたのはとても残念でした。

全体的に観客への見せ場が少なく、色濃い映像の割には印象的なシーンが無かった気がしました。

Photo_4 配色にこれだけこだわっているんだから、せっかくなら最初から最後までリアルな被写体の中での美しさを追い求めてほしかったです。

土屋アンナ(左)と蜷川実花監督(右)

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『それでもボクはやってない』

Photo_2 映画批評20弾!!周防正行監督の社会派最新作!!

『それでもボクはやってない』勝手に自己評価!!

★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点)

硬いテーマなのに程好くゆるい・・・この違和感のバランスが絶妙なんです。

26歳フリーターという主人公の人物設定がこの作品が成功した1番の理由です。

ある朝、26歳でフリーターの金子徹平(加瀬亮)は会社の面接に向かうため、通勤ラッシュで混雑する電車に乗り合わせた。それがすべての災難の始まりだった。電車を降りてすぐに、見知らぬ女子学生に「この人に痴漢をされた!!」と呼び止められたのだ。ロクに話を聞いてくれない駅員、そして警察官達・・・・ついに徹平の長く辛い戦いは法廷へと進んでいく。「ボクはなにもしていない!!」彼の主張は、日本の裁判制度を根本からくつがえすための救いとなるのか。それとも単なる悲鳴となってしまうのか。

監督は『Shall We ダンス?』(1996年)で各映画賞を総なめにした娯楽界のトップランナーである周防正行。

今作の制作に当たって、周防監督は200回以上の傍聴、数百冊の法律書読破、弁護団会議にも積極的に参加し、およそ3年半にも及ぶ徹底取材を重ねたそうだ。緻密な研究データと観察経験が作品にリアリティを与えていることがわかる。

所有していたアダルトビデオ・雑誌を、証拠品として裁判で問いただされた時の徹平がいいわけするシーンや、性犯罪の傍聴を趣味としている傍観者の不可解な行動・・・。周防監督独特の人間観察の視点が作品の随所に散りばめられている。

ただ上映時間が143分なので相当長い。我慢のしどころが何度か訪れるので、根気強く耐えることも必要です。男性の方が比較的のめり込みやすい内容なので長時間でもあっという間に観終わるかもしれませんが、割と女性には退屈を感じさせるかもしれません。

この作品の面白いところは主人公の設定が26歳のフリーターだということです。

その上、養っていく家族がいなければ、しっかりとした職に就いているわけでもない。恋人がいるわけでもなければ、学校に通っているわけではない。彼を取り囲む環境がとてもフランクなんです。

つまり・・主人公徹平が背負っているものは、世の中のしがらみや築き上げた権力でもなく、自身の正義感・プライドただそれだけなんです。もしも制作者側の目的が「痴漢冤罪によって登場人物たちが苦労していくことを伝える」というのを重点に置くとしたなら主人公は当然40、50代の中高年を設定していたでしょう。そうしたらただ同情を生むだけのただの娯楽映画になっていたかもしれない。

しかし周防監督の本作での目的は「日本の裁判制度に疑問を投げかけること」ですから、今回主人公を26歳フリーターと設定したことは、とても道理にかなっているんです。真で伝えたい部分はストレートに分かりやすく表現するという考えが成功につながりました。

裁判では有罪になることより、無罪を主張することのほうが難しいんですね。Photo

アカデミー賞に日本代表として出品するみたいですが、海外の人達がどのように判断し、評価するのか気になるところです。

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2007.10.21

『オール・ザ・キングスメン』

Photo_7 映画批評19弾!!1949年ピュリツァー賞受賞作品の映画化!!

『オール・ザ・キングスメン』勝手に自己評価!!

★★★★★☆☆☆☆☆(10点満点中5点)

“もったいない”の一言に尽きる。

ショーン・ペンの演技は鳥肌が立つほど素晴らしかったのに・・・

まず最初に言いたい。この作品のDVDジャケット(右上に添付)はどうにかならなかったのか・・・?これじゃ戦隊物のヒーローみたいで面白みがまったくない。物語全体の趣旨と人物の露出度やキャラクターをしっかりと理解していたらこんな芸のないデザインにならなかったはずである。出演俳優人を前面に押し出したい気持ちは分かるが、ただ役者人を横に配列しただけではあまりに陳腐すぎます。

そもそも私がこの映画を知ったのは他のDVD作品の本編前にあった予告編でした。

これだけの俳優人を揃えた作品なら劇場公開時にも大きな話題になっていたはずでしょうが、まったく覚えがないのはなぜだろう・・・。それにアカデミー賞にノミネートしたという情報もないのだからとても意外で・・・。そんな疑問を抱きながら本作品を観始めたのでした。

ストーリー内容自体は、現代も問題視される“政治とカネ”そして“人間の野心と欲望”について描かれており大変興味深いし、役者人の演技にしても私の期待が裏切られることなく十分に堪能できたんです。

ショーン・ペンに関しては、出演する作品ごとに変化させていく怪人的な演技にはいつもながら圧倒させられしまいます。今作品でもまざまざと彼の演技力の凄さを見せ付けられました。

ただがむしゃらに正義だけを貫いている貧しい出納官だったウィリー・スターク(ショーン・ペン)が、州知事の地位まで一気に昇り上がるときの演説シーンにはあやうく泣きそうになりました。

演説内容や言葉・セリフに感動したわけではありません。Photo_8彼の声のトーン、力強い身振り手振り、善と悪に満ちた狂気的な表情・・・彼が命を吹きかけたスタークという人間に目を奪われてしまったんです。

それにしても・・・・本当にもったいない。

脚本だって、『シンドラーのリスト』でアカデミー脚色賞を受賞したスティーヴン・ゼイリアンが手掛けてるんです。しかし彼にはうまい脚本は書けても、監督として現場で臨機応変な統率が出来なかったのかもしれません。

では具体的にどこがいけなかったのか。

要因は過剰な演出と、整理しきれていない編集の無意味な部分です。

演出に関してはいくつか腑に落ちない点はあるが、その中でも、強い信念を持つジャーナリストのジャック・バーデン(ジュード・ロウ)が、父親のような存在だったアーウィン判事(アンソニー・ホプキンス)を自殺へと追い詰めてしまった後、アーウィンが集めていたジャックの記事アルバムをめくりながら、父同然だった彼の愛情に思いをはせるシーン・・・。ここは明らかに尺とりすぎだし、過剰演出な上に単純すぎる。またラストシーンもモノクロ映像にしたとこまでは良いが、インパクトを狙いすぎて不自然であった。

Photo_9 編集に関しては、冒頭シーンの現代から過去数年前へと移り変わる部分に疑問を抱く。

一見モノトーンでストーリーを印象付け、スタークの変貌ぶりも表しているように思えるが、この冒頭部分がそこまで物語全体を通じての重要部分というわけでもない。ここを反復させられても、最終的に観る人を困惑させてしまう。シーンの繋ぎ部分がストーリーの流れをつまらせてしまっている。こうなるなら自然な時間軸で進んでも良かった。ましてやこれだけ内容の濃いものなのだから削るところは削り、大事なところはしっかり強調しないと。Photo_10

ただ悪い映画ではないんです。良い映画なんです。

ぜひ観てみてください。色んな意見が生まれると思います。

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『アーサーとミニモイの不思議な国』

Photo 映画批評18弾!!リュック・ベッソン監督最新作ファンタジー!!

アーサーミニモイ思議な国』勝手に自己評価!!

★★★★☆☆☆☆☆☆10点満点中4点)

完全に子供向けの映画です。

無名の監督の作品だったらおそらく観ていないでしょうね・・・

ある日、主人公アーサー(フレディ・ハイモア)が屋根裏で行方不明中の祖父が残した書物を発見することから物語は始まる。そこに記されていたのは、アフリカの謎の伝説種族“ミニモイ族”と“7つの国”に関する秘密であった。そして地図には自宅の裏庭に眠るという財宝の在り処も示されていて・・。借金返済に追われ、家をも出て行かなくてはならない苦しい現状に直面した家族を助けるため、アーサーは不思議な国ミニモイの世界へと旅立つのだった。

作品は子供の観察力や探究心をうまく物語の中に埋め込んでいます。

しかし、壮大なファンタジーというわけでもないし、リアルな臨場感を味わえるアドベンチャー巨編ということでもない。ライブアクションと3Dアニメーションを融合したといってもそこまで大きな衝撃は受けませんでした。日本のアニメーション技術はさらに上をいってますから、3Dアニメーション映像自体に新鮮さを求めてしまうとやはり物足りなく感じてしまいます・・・

しかしながら、子供の目線からこの映画を観てみたらきっと面白いでしょうね。自分の家の庭にあんなスペクタルな世界が広がっていると思うと毎日がワクワクするはず・・・少なくとも人形やフィギアで戦闘ゴッコをさせていた小さいころの私だったら興奮してしまいます。

そういった点では、原案者であるリュック・ベッソンを含め、作り手側が子供の目線にしっかりと立ち返って新鮮なアイデアを生み出していったことは素晴らしい。

「映画10本撮ったら引退する」と言っていたリュック・ベッソン監督。本作でちょうど10本目の作品になるので今後の動向が気になるところ。すでに情報では『アーサーとミニモイシリーズ』の第二部の制作がスタートしているんだとか。全三部作ということで少なくとも現時点ではベッソン作品の見納めは先の話なのでひとまず安心・・・そして次回作へのある種の不安・・・。Photo_2

ベッソン監督の母国フランスでは大ヒット!!アメリカでは大コケ・・・日本でもどちらかといえば成功とはいえないでしょうね。

ある意味でリュック・ベッソンのブランドの強さを感じました。冷静に考えると他の無名監督作品だったら観ないもんなあ。次回作は周りの評判次第で観るかを考えようと思います。

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2007.10.11

『ゆれる』

Yureru 映画批評17弾!第59回カンヌ国際映画祭監督週間 正式出品作品!

『ゆれる』勝手に自己評価!!

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

凄い映画である。

観終わった後、鳥肌が立ちました・・・

   

ゆれる吊り橋・・・ゆれる兄弟・・・ゆれる私の主観。一回目観終わった後「やられたな・・・」と思いました。私の主観は完全に殺人容疑をかけられた兄を持つ弟の猛(オダギリジョー)の視点に立ってしまっていたのです。しかし今思えば、香川照之が演じた、内面にとがった狂気の感情を持った兄・稔という存在に、完全に圧倒されてしまっていたんだと思います。

これだけ巧みで、心揺さぶられるストーリーは久しぶりです。

登場人物の深層心理である細かい感情の糸が張りめぐらされたシナリオを、頭に描いたように映像化し、そして実像として形付けていくということは難しいことです。

この作品で原案、脚本、監督を務めた西川美和という若干30代のこの若い女性クリエーターに秘められたダイヤモンドのような才能に素直に驚嘆してしまいました。

ストーリーは東京で成功した写真家の弟・猛(オダギリジョー)と地方で家業を継ぐ兄・稔(香川照之)が母の一周忌で久しぶりに出会ったことから始まる。兄の勧めもあって兄弟は幼馴染の美恵子(真木よう子)と三人で近くの渓谷に出掛けることになる。しかし、その場所で起こったある悲劇によって兄弟の内面にある感情が大きく揺れ動くことになる・・・。

兄弟と呼ばれるその絆はどこまでが確かであり、どこから解れていってしまうものなのか。印象的な吊り橋の様子から人と人の繋がりをもう一度考えさせられました。

キャスト俳優人も見ごたえ十分です。改めてキャスティングが作品の色合いと印象を360度変えてしまう、どれだけ重要であるかを考えさせられました。主要キャスト人の光る演技はもちろん、脇を固める田口トモロヲ、ピエール龍、木村祐一(キム兄)、蟹江敬三などの演技は印象的で、作品全体にクールで香ばしいスパイスを与え、場面を引き締めてくれています。Photo_6

内容自体は人間のドロドロとした感情やエゴを描いているのだけれど、作品全体をみるとさらりとしたすがすがしい印象を持ちます。なぜでしょう、何度も見返してしまう不思議な魅力があるんです。

7年後、兄弟が再会するラストシーン・・・画面に向けて最後に微笑んだ兄・稔の心情とは一体どういうものだったのか。自分なりの解釈がいくらでもできる作品です。それぞれの登場人物に焦点をおいてさまざまな角度・視点から物語を観てみても面白いかもしれません。Photo_2

心揺さぶられる見事な映画でした

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2007.10.10

『BULLY/ブリー』

映画批評第16弾!!暴走する子供達を鬼才監督ラリー・クラークが映画化!!

『BULLY/ブリー』勝手に自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆10点満点中7点)Bully

この作品に登場するティーン達がズレてしまっているように、現実社会はもっと大きくズレ曲がってしまっているのかもしれない。

ティーンによる集団殺人事件を、実話を記したジム・シュッツ原作のノンフィクション「なぜ、いじめっ子は殺されたのか?」を基に完全映画化した衝撃作品。監督はドキュメンタリータッチの映画『KID/キッズ』で衝撃的な監督デビューを果たした写真家ラリー・クラーク。彼は写真集・映画ともに若者の性についての描写に高い評価があり、今作品でもアメリカ中に波紋と衝撃が走らせ問題となった。

一体どこまでがノンフィクションで、どこからがフィクションなのかは分からない。しかしこの作品が、実際に南フロリダでおきた殺人事件と同様に、暴走する子供達は増えてきているという現状をリアルに表現していることには変わりはない。とてもエネルギッシュで緻密な内容になっている。

実在する役柄を演じた若いキャスト人も、事件における登場人物の心理や行動を自分達なりに解釈をし、とても新鮮な表現で演じている。キャスティングの成功もあるが、ラリー・クラーク監督の現場演出の仕方がとても親身で温かく、未来のスター達が自由に羽をのばすことができたのだろう。良い影響が作品の随所にあらわれている。

この作品で注目してもらいたいのが殺人実行時の映像のリアリティはもちろんだが、殺人後の登場人物各々の動揺や心境の変化である。精神面での混乱が言葉や行動にあらわれてしまう様子がとても興味深い。子供達の心の弱さというより、人間の本質部分をくみ取ることが出来る。誰もが仲間を、自分自身を疑い始めるのだった・・・

観る人によっては「よくこんな軽率なことがよくできるものだ、狂った連中だ」と思うかもしれない。しかし、少なくとも私は、この作品を通して共感できる部分が幾度かあった。世代や生活環境によっても感じ方は違うのかもしれないが、今現代社会を生きる若者達の現状と少なからずリンクしている部分はある。

私的には内容を美化したり、映像を変にアーティスチックに仕上げていないところが好きである。

Brad主人公マーティ役を演じたブラッド・レンフロ

「マイ・フレンド・フォーエバー」でエイズの友人を救おうを懸命になる少年を演じ注目を受け、「ゴールデンボーイ」では自らの個性を投影させて悪役にも挑戦した。しかしその後ドラッグの使用が発覚するなどトラブルもあり低迷。02年の「BULLY ブリー」で復活の兆候を見せている。(googleプロフィールより)

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2007.10.09

『ミリキタニの猫』

映画批評第15弾!!世界各地の映画祭で絶賛されたドキュメンタリー!!

『ミリキタニの猫』勝手に自己評価!!

Photo ★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

これだけ濃密な内容の映画は久しぶりです。

ドキュメンタリー作品の原点というものを考えさせられました・・

ニューヨークの路上でひたすら絵筆を動かしている男がいた。それが物語の主人公80歳のホームレス画家ジミー・ミリキタニである。日系人収容所での生活や、広島の原爆、そして9・11テロ・・・歴史に翻弄され続けた彼の数奇な人生を女性監督リンダ・ハッテンドーフが長い年月をかけ取材し、共同生活を送りながら追い続けていく。

私の中で、ドキュメンタリーってTV番組で観る分で十分、わざわざ映画館にまで足を運んで観る必要ないっていう気持ちが強くあるんです。

それで今回もそこまで期待はしていませんでした。最初はどういうふうに話が進んでいくのかと身構えている部分があったんです。 しかし、自然で親密なカメラワークのおかげか気付けば通りすがりの一人の登場人物のようにミリキタニの話に耳を傾けている自分がいました。

編集や演出にも相当こだわりを持っているのが細部のシーンごとに見て取れます。

ストーリーは、TVから聞こえてくるニュース情報の音声や、ミリキタニ本人が過去を振り返るように語る生の声、そして何よりも不思議な魅了をもつ絵を通して語られていきます。これってただナレーションによって順を追って語られていくものとは違って、観ている人を飽きさせない。相当手が込んだ緻密な計算がないと、演出がかったように不自然になり違和感を感じてしまう・・・とても難しいところなんですが、この作品は見事にまとまっています。

ミリキタニの周りで起こったテロや、生き別れていた親族との再会、すべてが偶然なのにそれがこの作品に必然的に巡り合わされた出来事のように感じてしまいました。

一つ苦言を言うならば日本語の字幕が早過ぎて読みづらかったことくらいですかね

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上映時間は74分間とちょうどいい。

これだけ濃密な内容だと、これ以上長い時間観るのはどうしても疲れてしまいますから・・・

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2007.10.04

『砂と霧の家』

Photo 映画批評14弾!!2003年アカデミー賞主演男優賞ノミネートのベン・キングズレー出演ヒューマン映画!!

『砂と霧の家』勝手に自己評価!!

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中1点)

観終わった後、ワダカマリだけが心に残る酷い映画。

この手のテーマで“美しい死”を表現しようとするのは大きな間違いです・・・

アンドレ・デビュースが著した同名の原作を基にした本作。『ガンジー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したベン・キングスレーが、第76回(2003年)アカデミー賞主演男優賞にもノミネートしたヒューマンドラマ。一軒の「家」に愛情を注ぎ続ける一人の女ジェニファー・コネリーと、過去の栄光をプライドとして持ち続けようとするイラン系移民の一家が巻き込まれていく悲劇をえがく。

はっきりいって私的にはここ最近観た映画の中でもワーストに入る出来の内容でした。

※以後ネタばれ注意→本作で伝えたいことが“単なる悲劇”というだけなら、“子供が警察に撃たれて死ぬこと”“イランを亡命した夫婦の心中”といったシナリオの結末はありなのかもしれませんが、“人間の弱さ”や“権威”、“執着心”や“民族間の偏見”など伝えるべきもっと大切なことが原作の中にはあったはずです。結果としてあまりにもお粗末な印象を受けました。

実話を基にしているものだったり、芸術的要素を重視したもの、映像表現に力を入れたものなどそれ相応のテーマで作った映画なのだったら許される表現なのですが・・・救いや希望を持たせない内容には疑問を持ちますし、”人間の死”で観る人に感動や衝撃を与えようとする内容のつくりには良い印象を持ちません。ストーリーの中で徐々に主張していくのなら良いのですが、完全にラストのシーンに物語の重点を置きすぎましたね。

せっかく、土地・住居をめぐる争いを主題としているとても現実的で興味深い内容であるのに登場人物の行動が幼稚すぎだったり、極端すぎてあまりにもリアリティがなさすぎる。この小説を映像化するのはそもそもミスだったのかもしれません。

作品の内容がこれだけ悪かったら、俳優人がどれだけいい演技をしても結局共倒れになってしまい酷です。

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『スキヤキ ウエスタン ジャンゴ』

映画批評第13弾!!異才三池崇史監督の和風ウエスタン映画!!

『スキヤキ ウエスタン ジャンゴ』勝手に自己評価!!

★★★★☆☆☆☆☆☆(10点満点中4点)

これだけハチャメチャだからこそ、魅力も十分にあります。

グロさとユーモアが半々に混じりあった新感覚映画。

ストーリーは、ある村の黄金をめぐって、それぞれに思惑を抱いた者たちが撃ち合い、殴り合い、斬り合いと何でもありで戦うものです。舞台は源氏と平家が決戦した壇ノ浦の戦いより数百年後のようですが三池監督も特別深い意味を持っての設定ではないでしょうね。まったくストーリーは気にしなくてOKな作品です。

なんでもあり!!なんでもかんでも混ぜちまおう!!というようなちょっとしたお祭り物のように感じました。

途中、駆け引きやら、裏切りやら、愛情劇もありますがこだわって深読みなどしたり、ストーリーを頭で追っていく必要は一切ありません。これだけハチャメチャな映画ですから観たまんまを楽しみましょう。

出演した佐藤浩市が作品について「極上なB級映画が完成した」と言っているように、内容はともかくとして、作品を彩るキャスト陣は相当豪華なことは確かです。俳優人の演技を目当てに観にいくのも良いでしょうね。

流浪の用心棒ガンマン伊藤英明    

したたかな暴君平清盛佐藤浩市 

誇り高き冷酷な武士源義経伊勢谷友介  

凶気の化身与一安藤政信

情深き豪傑弁慶石橋貴明         Photo_4

麗しき悲運の華 木村佳乃

権力と己に怯える男保安官香川照之    

忠義に生きる闘将平重盛堺雅人   

                     豪華俳優人による舞台挨拶

哀しき正義漢アキラ小栗旬       

心優しき魔女ルリ子桃井かおり

伝説の銃神ピリンゴクエンティン・タランティーノ

ほかにも松重豊、SMAP香取信吾、田中要次など出演。

これだけの役者を揃えてそれぞれに見せ場を作るのは監督としても難問だったでしょう。でも主人公役の伊藤英明がPhoto少し他の役者人の怪演に埋もれてしまっていた以外はみんな見せ場はしっかりありましたし、いい味でてました。敢えて言うなら役者達の「死に際の演技」に注目してみたらいいかもしれません。

三池監督作品にしては分かりやすく万人受けを考えて作ったようですね。全編英語だったのですが、NATIVEの人たちにはどう感じたのでしょうか?くれぐれもマジな映画として誤認されたくは無いです。

今後の三池監督と日本の映画界の新しい表現への可能性の断片を本作を通じて見つけ出してくれていたらいいですよね。

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2007.09.29

『モーターサイクルダイアリーズ』

Photo 映画批評第12弾!!青年チェ・ゲバラの南米旅行の話!!

『モーターサイクルダイアリーズ』勝手に自己評価!!

★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点)

なんだか“世界ウルルン滞在記”観てる気分でした。

無理な演出や映像表現はせず、ありのまま自然体で撮っているところが良かった。

23歳の医学生エルネスト(ガエル・ガルシア・ベルナル)は親友のアルベルト(ロドリゴ・デ・ラ・セルナ)とともに南米大陸縦断の旅に出る。気の向くままに進み続ける1万キロの旅・・・。二人はさまざまな人と出会い、幾度もの壁を乗り越えていく。そして二人が旅を通して心に感じたこととは一体何であったのか?ラテン・アメリカの真の姿を目の当たりにしてその後、それぞれがそれぞれの道を歩き始めるのであった。

1959年、キューバ革命を成し遂げた伝説の革命児エルネスト・チェ・ゲバラが自らの青春時代を書き下ろした原作『モーターサイクル南米旅行日記』を、『セントラル・ステーション』のウォルター・サレス監督が映画化したロードムービー。2004年サンダンス映画祭やカンヌ国際映画祭でも大絶賛を浴びた感動作。

泳いで島へと横断したり、追手から逃げるため走り回ったり、おんぼろバイクにまたがって山道を下ったりと南米流トライアスロンを観ているようでした。おまけに射撃で空を飛ぶカモを射止めてしまうもんですから何でもありですわ。それでも、どのシーンに関しても不自然な撮り方や演出はしていないので、観てる側としても旅の雰囲気を自然に楽しめた。

国境を越えるときも下手な感動は無いんです。だからいつの間にか違う国に来ていたりする。テロップの場所表示の文字で初めて現在地が分かったりするんです。

一見、国と国との間に大きな隔たりが無いように思えても、やっぱり貧困の格差はあるし、宗教が違えばその人の置かれる立場も大きく変わってしまう。ハンセン病患者を島に隔離している辛い事実も、現代に根強く残る偏見に通ずると思う。

物語の流れとしては、旅に出てからすぐの段階で、主人公エルネストが離れた彼女に再会してしまったので「あれ?この後どうなるんだ?」と最初は作品のテーマがいまいち掴めずにいたのだが、それも物語が進むにつれて作品の本当のテーマが分かり、解決していった。

しかしながら、ロードムービーは長い上映時間っていうイメージをどうしても持ってしまうんだけど、この作品もやっぱり二時間と長い・・・。もっと時間を短くまとめても良かったと思う。エンディングで老いぼれた親友アルベルトの横顔が映るシーンなんて全然要らないカットだと思う、観てる人にはもう十分伝わっているはず・・・あそこはすっきり終わらせて良かった。後にキューバ革命を成し遂げていくエルネスト・チェ・ゲバラのナレーション説明だってもう少し考慮できたはずである。

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2007.09.28

『LAST DAYS』

Last_days 映画批評第11弾!!伝説の天才カート・コバーンに捧ぐ作品!!

『LAST DAYS』勝手に自己評価!!

★★★★☆☆☆☆☆☆(10点満点中4点)

物語の中の研ぎ澄まされた空気を感じれる・・・

観る人を“操作しない”“誘導しない”映画であるために、自由な解釈が出来る映画である。

カンヌ映画祭でパルムドール賞&監督賞を受賞した『エレファント』のガス・ヴァン・サント監督が、音楽バンドのニルヴァーナのボーカルであったカート・コバーン最期の2日間を手掛ける。ニルヴァーナとして成功を手に入れながらもプレッシャーや苦悩からドラックに溺れ、やがて自殺により短い人生を終えたカート。この作品ではそんなカートを元にして人間の孤独、絶望、痛みが残酷に美しく映しださえている。

ガス監督の映画には軸となる確かな脚本というものが存在しない。というのも現場の雰囲気や、俳優の演技や発想からその場その場の空気で作品を創り上げていく手法をとっているのである。

劇中で所々に目に付いた必要以上に長い尺を取ったカメラを固定して撮影するシーン。これがとても多かった気がするので、もしかしたら本作の実験的要素のひとつだったのかもしれない。

私が心に残ったシーンは、機材に囲まれたスタジオのようなところで、主人公ブレイクを演じるマイケル・ピットが“Death to Birth”という曲を一人で弾き語るところである。とてもしっとりとしていて感慨深かった。彼は実際にバンドを組んで音楽活動もしていているというのだから驚きだ。この曲も本人が作詞作曲したという。今後も話題作に出演予定というので彼のマルチな才能にも期待しようと思う。

ガス監督の最近の作品である『ジェリー』(2002)、『エレファント』(2003)に続く今作品『LAST DAYS』はとても実験的な映画で彼の原点に立ち返っている。極力セリフを排除してカメラワークのみで語りかける。これって私の好きなアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の作品『バベル』『21グラム』とはまったく正反対の演出方法なんです。だから少し物足りなく感じてしまったのでしょう。

イニャリトゥ監督の場合はこれでもか!これでもか!といった風にさまざまな情報の破片を観客に投げ込んできます。そして制作側にはある程度の意図というものが存在するのです。

一方でガス・ヴァン・サント監督のここ最近の実験的作品の特徴は、観客に解釈はご自由にどうぞ!!といった風にして、作品の意図というものをなるべく覆い隠そうとしている気がします。これは作品が実話をインスパイアしていることもあるだろうし、観客に登場人物たちと同じ体験をしているように表現したかったからでしょう。

さてあなたはどちらの表現手法が好きですか?

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2007.09.22

『Big River』

映画批評第10弾!!オダギリジョー初海外進出作品!!

『Big River』勝手に自己評価!!

★★☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中2点)

内容のないストーリー。それが好きか?嫌いか?アナタ次第・・・

オダギリジョー好きの人だけが楽しめる消化不良映画ですわ。

正直な話、あまり内容は覚えていません。妻をアメリカ人男性に奪われた悩めるパキスタン人のアリ(カヴィ・ラズ)と、世界を当てもなく旅する日本人テッペイ(オダギリジョー)、そしてアメリカ人女性サラ(クロエ・スナイダー)の3人が偶然荒野の真ん中で出会い、一緒に車に乗って旅をするという感じですかね。

ベネチアの観客が、この作品を「ベルリン国際映画祭のフォーラム作品の中で、最も美しい映画」と賞賛したらしいし、観る人によってはそこそこ楽しめる映画かもしれません。ジム・ジャームッシュ監督作品のような雰囲気が好きな人は試しに観てみてもいいかもしれません。

しかし、作品の中のオダギリジョーは久々に冴えなかった・・・Big_river

多分本人も自由に演技することが許されていたんでしょう。自由にやりすぎたことが裏目に出て、テッペイというキャラクターに一貫性が無かった。まあ監督の意図的な演出だと言われたらそこまでですが・・・。

ベネチア国際映画祭で、ある程度の評価をうけている作品って、大体がボヤけてる気がします。キャラクターだったり、カメラワークだったり、内容が全体的にボワーんとしていて、観る人に深い意味での追求をさせない・・・。なんというかそういうクールな表現の映画が好まれる傾向があると思います。その国に根ざしている文化観というものが映画の好みにも関係してるんでしょうね。

それにしても、この作品はクールというべきか、内容のないつまらないなものというべきか悩んでしまいます。

今後も徐々にオダギリジョー出演作品をアップしていきたいと思います。

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2007.09.09

『ボルベール』

映画批評第9弾!!巨匠アルモドバル&主演ペネロペ・クルス!!

『ボルベール』勝手に自己評価!!

★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点) Photo_3

アルモドバル特有の世界観は健在。

女性の生き生きとした姿をダイナミックに、美しく表現している。

失業中の夫の分まで働く、明るくたくましく生きるライムンダ(ペネロペ・クルス)。だが彼女の留守中に、夫に関係を迫られた娘パウラ(ヨアンナ・コパ)は勢いあまって父親を刺し殺してしまう。事実を知ったライムンダは必死に事件の隠蔽を図り、夫の死体をレストランの冷蔵庫に運び込む。そこに客が現れ、ライムンダは急遽料理を振舞うことになる・・・。

物語の内容は、ミステリアスな部分とヒューマンドラマの要素が混じりあった感じ。普通なら多少の違和感を持ってしまってもいい内容だが、そこは数々の海外の映画祭でも高い評価を得ているアルモドバル監督が【人間の死】というテーマを軸として取り上げ、観客にも観やすく、うまく調和させています。

彼の作品って時々「それ斬新やなー」っていう素人が想像もつかないような演出をしたりするんです。今回のレストランの冷蔵庫に死体を入れたまま食事を出したりするところとかってなかなか思いつかない・・・万が一思いついてもそのシーンはドロドロとしたサスペンスで使われたりすると思うんです。彼の場合これを実にさらっと物語にはめ込んでしまっている、パズルの一ピースのように・・・。

まぁ、逆に「何やそれ?」っていうシーンもありましたけど。ライムンダの母親の懐かしい香りをおならの匂いだとか言って笑いあうシーンは、一体どんな母親なんだよっと思ってしまいました

アルモドバル作品の良さって、脚本制作の時点でほぼ出来上がっていると思うんです。だから俳優だったり、制作スタッフだったり、カメラマンが、彼の作る脚本を基にして連動できている、同じ意図を持って作品を組み立てていけるんじゃないんでしょうかね。私は彼の作品を観る度にいつもそう思ってしまいます。

日本の監督でもシナリオライターや映像作家から映画監督へと進む人も多いですよね。監督によって自分特有の表現を作品の中に注入していく方法はさまざまなのでしょう。

ペネロペ・クルスの女優としての良さが出ているのは今作品が久々な気がします。

その華麗さと美貌は改めて実感しましたが、なんでボルベールを自分で唄わずに口パクにしたんですかね。少しショックでした・・・せっかくならペネロペ本人に唄ってほしかったな。

ベテラン女優カルメン・マウラも、煮え切れなかった娘との関係を修復するために戻ってきたライムンダの母親役を、実に愛らしく明るく演じていて、とてもすがすがしかった。

女性賛歌三部作の最終章ここに完結。次回作にも大いに期待しましょう。

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2007.09.03

『マッチポイント』

映画批評第8弾!!名匠ウディ・アレン監督作品!!Photo_2

『マッチポイント』勝手に自己評価!!

★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点)

どちらかというと男性向けの映画ですね。

体のどこかがチクチクと痛かゆくなるんです・・・

名匠ウディ・アレン監督が初めてロンドン・ロケを敢行したサスペンス。イギリスの上流社会を舞台に、持ち前の野心で地位と財産を手に入れる男の運命を描いた作品。

元プロテニス・プレイヤーのクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、大金持ちのトム(マシュー・グード)と親しくなり、やがて知り合った彼トムの妹クロエ(エミリー・モーティマー)と結婚。しかし、当時トムの婚約者だったアメリカ人女優のノラ(スカーレット・ヨハンソン)に心を奪われ、不倫関係を続けてしまう・・。やがてクリスに訪れる愛か欲かの選択肢・・・彼が選んだ道とは一体?

優柔不断でカッコつけの主人公クリス、こいつは本当にろくでもない男です。言っていることは口先ばかりだし、自分の意思というものを持たない。

でも、なぜか彼の言動をみていて、他人事とは思えないフシが結構あるんです・・

おそらく、この作品をみていて、登場人物に自分の身近な友人だとか恋人だとかを当てはめて観ていた人もいるんではないでしょうか?

会話の中でクリスが言った何気ないセリフが、実は自分にも言った覚えがあったり・・・、恋人がすごくクロエに似た性格であることに気づいたり・・・。それぞれのキャラクターにある種の共感を覚えてた人も少なからずいたはずです。

これはウディ・アレンの巧みなシナリオ術の賜物でしょうね。普通、登場人物のキャラ設定というのはストーリーが進んでいくうちにどうしてもぶれてしまっていたり、隠れてしまっていたりすることが多いんです。またありきたりな人物像であからさまに共感を狙っていると感じてしまうものもあります。しかし、この作品のキャラクターは最後までぶれなかったし、自然かつ緻密だった。これが楽しめた理由かもしれません。

もう少ししっかりした大人になってから、再度観てみたい作品です。

やっぱり人間の欲望って恐いもんやね!!

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2007.09.01

『カポーティ』

映画批評第7弾!!2005年アカデミー賞5部門ノミネート作品!!

『カポーティ』勝手に自己評価!!

★★★★☆☆☆☆☆☆(10点満点中4点)

主人公を演じたホフマンの怪演ぶりはお見事!!

“キショクわるさ” は鳥肌が立つほど伝わりました・・・

本作『カポーティ』は、「ティファニーで朝食を」の原作者としても知られる作家トルーマン・カポーティが、カンザス州の農村で起きた一家惨殺事件を取材して「冷血」を書き上げるまでをつづった実録もの。殺人犯との交流やゲイだったカポーティの素顔と野望、そして葛藤が描かれる。

監督には、ドキュメンタリーやCMの出身である新人ベネット・ミラー。そして主人公カポーティ役には名脇役で知られるフィリップ・シーモア・ホフマンをキャスティング。自ら制作にも乗り出し、見事に本作で第78回(2005年)アカデミー主演男優賞をものにした。

ある意味で、予想を裏切られた映画でした・・・

ストーリーは淡々としたテンポで進むことは見当がついていたのですが、主人公カポーティを演じたホフマンの怪演ぶりには驚きました。ふちのある丸めがねに色白の肌、耳に残る少し高いトーンの声と、独特のテンポで話しかける姿。すべてが計算された緻密な演技は見事でした。

本の題名にもなる「冷血」な人間とは、一家四人を惨殺した殺人犯の方ではなく、カポーティ本人だったのでしょう・・・

それだけに、この作品を観ている人が、ストーリーの中でカポーティの気持ちに自然と感情移入ができていたら楽しくみられる映画なんでしょうね。なかなか難しいだろうけど・・・。

感情移入・・・私には、それが出来なかった。それで登場人物とは少し距離を置いた場所から眺めるように作品を見ていました。客観的に作品を観る大切さというのもありますが、この作品の場合、流れがスローテンポだし、特有のもわりとした雰囲気があって体にうまく馴染まず少し退屈に感じてしまったんです。

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そういえば最近、同姓愛をテーマにした社会派の大作映画がよく見られますが、どうなんでしょう? しばらくこの流れは続くんでしょうかね・・・

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2007.08.19

『遠くの空に消えた』

映画批評第6弾!!期待してるよ行定さん!!

『遠くの空に消えた』勝手に自己評価!!

★★☆☆☆☆☆☆☆☆(Img_0002Img_0001_210点満点中2点)

子供を使った映画ほど難しいものはない。

無理にコメディータッチの作品にしなくても良かったんじゃ・・どこで笑ったらよいのか分からなかった。

『世界の中心で愛を叫ぶ』『春の雪』の行定勲監督が7年もの歳月をかけて温め続けたオリジナル・ストーリー。子供力満載の児童映画がついに完成。

主演にはドラマ、映画で活躍する神木隆之介、『SAYURI』での熱演が記憶に新しい大後寿々花をキャスティング。そのほか周りを固める小日向文世伊藤歩三浦友和大竹しのぶなどの実力派役者人を集結させた本作品。

行定監督のこれまでの作品は欠かさずに見てきましたが、個人的には好きです。特に『ロックンロールミシン』(出演・加瀬亮りょう)なんかは良いっすね。

ちなみに行定監督が、これだけ年齢の低い子供をベースにした作品は珍しいです。ましてやファンタジー映画というのだから新しい試みです。公開前から「絶対に観たい」と期待大でした。それがいけなかったんでしょうか・・・。

観る前は岩井俊二監督の『スワロウテイル』(出演・CHARA三上博史)みたいな、良い意味で予想を裏切ってくれる雰囲気の映画かなぁと予想していたんです。

※以下ネタばれあり注意

しかし、冒頭で柏原崇が現代から過去を振り返るように始まるベタベタなくだり・・。あれ?こっち系かぁとそのとき気づきました。その後からはファンタジーなのだけど、途中途中にコメディーみたいなセリフや動きを織り交ぜたりして、またそれがどこで笑ったいいのか分からない・・・困惑してしまいました。笑いどころは小日向さんに任せっぱなしって感じ、笑わせる必要なんてなかった作品だと思います。

その上、ストーリーはどっかで見たような部分が多くて・・・。検便に動物の糞を使うのは韓国映画の『ラブストーリー』で見たことあったし、少し風変わりでおかしな大人が出てくるのはテリーギリアム監督の『ローズ・イン・タイドランド』でみたことあったので少し気になりました。

ストーリー内容が途中何度か間延びしっちゃっていて飽きてしまった。装飾やロケ地、美術などはとても魅力的だったので、映画好きに人気のあるフレッシュな役者をもう少し起用して、もっと物語全体にアクセントを加えることができていたらきっと良くなった作品です。それだけにとても残念・・・。

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『トランスフォーマー』

      Img     映画批評第5弾!!2007年夏話題作!!

 『トランスフォーマー』勝手に自己評価!!

 ★★★★★☆☆☆☆☆(10点満点中5点)

スピルバーグ作品は本当に批評が難しい。しかし素人だからこそ、この手の作品に論を唱えることほど気持ちの良いことはないのだ。

いわずと知れた巨匠スティーブン・スピルバーグと、『アルマゲドン』のマイケル・ベイというハリウッド屈指の二人がはじめてコンビを組んだ本作品。

世界最大のVFXファクトリー、ILMを核とした総力スタッフ350名以上が集結。今年2007年度映画の1番の注目作といってもいいだろう。

内容は、未知の惑星からの侵略者が、あらゆるテクノロジー機器に姿を変え人間社会に入り込む。彼らはロボット状の姿へトランスフォーム(変身)し、人間に牙をむける。その敵にアメリカ映画お得意のヒーローが立ち向かっていくというストーリーだ。

正直、ストーリー自体はあんまり重要じゃないと思う・・

この作品を制作するにあったってのスピルバーグ&マイケル・ベイチームの本当の意図とはあくまで、

「全世界の人々に向けた“衝撃的な次世代映像”の発信であって、ハリウッド制作チームの力を見せ付けるためのお披露目を目的とした“お祭り作品”のように感じた」

実際のところ、本作品の革命的映像には圧倒された。めちゃくちゃすごいし、トランスフォームの細かい動きなんてかっこよすぎる。

純粋に、迫力満点の映像には満足できたし、終映後にグッズ売り場でトランスフォーマーのおもちゃを買いそうになったほど興奮の余韻はしばらく続いた。

しかしながらやはり、単調に続くトランスフォーマー通しの戦闘シーンや、ひねりのない物語の結末にはすこしがっかりした。

他に気になったのは、劇中に何度か見られた他国を皮肉ったアメリカンジョーク。もう少し配慮しても良かったかな・・・

しかしながら、映画館でお金を払って観ても、決して後悔はしない作品であることは確かである。

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『天然コケッコー』

Photo_2 映画批評第4弾!!邦画いっちゃいます!!

『天然コケッコー』勝手に自己評価!!

★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点)

渡辺あやさんの書く脚本は実に面白い。好きです。

犬童一心監督と組んだ『ジョゼと虎と魚たち』(出演・妻夫木聡池脇千鶴)、『メゾン・ド・ヒミコ』(出演・オダギリジョー柴咲コウ)に続いて、今回脚本家渡辺あやがタッグを組んだのは『リンダ リンダ リンダ』の山下敦弘監督!!田舎町で暮らす少女の初恋を優しく、あたたかく表現しています・・・これまでの作品とは一味違った雰囲気。

くらふちふさこの名作コミック『天然コケッコー』を映画化した本作品。田舎町の海、木々、太陽などの自然の美しさを存分に堪能できます。

本作を通して、私たちが普段の慌しい生活の中で聞き流してしまっている“音”に注目してみたらいかがでしょう。さまざまな場面で上手く“音”が散りばめられています。自然はもちろん、都会の騒音や学校のチャイム音、にわとりの鳴き声さえも感慨深いものを感じるかもしれません。レイ・ハラカミの劇中サウンドも、くるりの主題歌もいいっすね。

主人公の右田そよを演じた夏帆はとても自然体でよかった。それにしても、転校生役の大沢広海役の岡田将生は今後確実にブレイクしますね。最近ドラマやCMでもちらほら見掛けるようになりましたが、演技力と知名度があがれば若手俳優の一角を担うだけの素質はある気がします。今後の活躍に期待。

この映画は眠たいときに観ると、おそらく寝ってしまうので注意。眠気のないときに一回観てしまって、二回目からは眠りたいときに観るのがいいかも、ここちよく眠りにつけるでしょう。この作品の中で小さな夏休みを過ごした気分でした。DVD出たら買おっかなー。

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2007.08.18

『どろろ』

 映画批評第3弾!!初の邦画編!!

『どろろ』勝手に自己評価 

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中1点)

正直、しんどい作品でした・・・

話題作だったし、キャストも魅力的、観る前から少し期待しすぎちゃったのかなぁ。

原作は手塚治虫の有名マンガ「どろろ」、百鬼丸役に妻夫木聡、どろろ役に柴咲コウ、その他にも周りを囲む役者も、中井貴一瑛太土屋アンナ麻生久美子など豪華な顔ぶれが揃った。

しかし肝心の内容は・・・

総制作費20億円をかけ、ニュージーランドの壮大な大地で撮影したにもかかわらず、

アクションシーンにはまったく迫力はないし、ストーリーもまちまち、せっかく手塚マンガの実写版をやるならば真に心に訴えかける内容にしてほしかった。あまりにも内容をはしおりすぎちゃっていて手塚マンガの最も大事な部分を表現できてなかった気がする。

同じように時代物マンガを実写化した映画ならば、『あずみ』(北村龍平監督、上戸彩主演)のほうが内容においても、アクションシーンにおいても見ごたえがあるし完成度は高い。

この作品中には、あれ?と思う気になるシーンはたくさんあったが、そのなかでも物語後半のシーンで中井貴一演じる百鬼丸の父が魔物になった時の特殊メイク、カブリモノはどうみてもカッコ悪すぎる。いくら少年マンガの実写化といえども違和感を覚えずにはいられない。

せっかく魅力的な役者人をそろえてもキャスティングがうまくフィットしていないとこうなってしまうのだ。役者が演じるキャラクターの見せ場があまりないのも酷だろう。

他にもシーンのところどころに雑な映像部分が目に付いた。百鬼丸が物語のラストで心臓を取り戻すシーンでは、どうみても「これ粘土かなんかで作ったおもちゃだろうが!」っていう作りのおかしな心臓だった・・・

こういう映画は、アクションに力をいれるか、ストーリーにこだわるかのどっちかにしてほしい。続編も決定していると話だが、このままだと今度こそ、大すべりしてしまうだろう。

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2007.08.05

『バベル BABEL』

     映画評第2回目!!

『バベル BABEL』勝手に自己評価 

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

賛否両論で分かれるこの作品・・・

さて皆さんはどう評価しますかね??

ちなみに私は“賛”組に入ったのですが、観た人によって感じ方が違うのも納得はできます。

なぜなら、物語の“ツナギ”があまりにも上手く出来過ぎているためです・・・結末も十分納得のいける形になっている、しかしなんだかふいに落ちないという感じですかね。         

「よく分からなかった」「退屈だった」という人はおそらく、冒頭からラストまで殺伐とした流れで続いていくストーリー展開に体が合わなかった人でしょう。

前作の『21グラム』(03)でアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作品の雰囲気を体験済みの人にとっては理解できると思いますが、最初から最後まで本気で観ようとすると彼の作品は相当体力を消耗します。私的には今回の作品のほうが、前作『21グラム』よりかは比較的観やすかった気がしますが・・・ 

『バベル』にはまった人はぜひとも前作『21グラム』を観てみてください。  

物語はモロッコ、アメリカ、メキシコ、日本の4国が一発の銃声で結ばれていく。言葉が通じない、想いも伝わらないときに私たち人間はどうやって相手に心を通わせていくのかというかなり壮大なスケールのヒューマンドラマ。

本作で、アカデミー賞助演女優賞にノミネートした菊池凛子の裸体や演技力をどうこうは言えないが、彼女が演じた聾唖の女子高生の存在感は周りの豪華俳優人を飲み込むほどであった。やはり彼女の強い目力効果だろう。

そのほかブラッド・ピッドをはじめケイト・ブランシェット役所広司ガエル・ガルシアなどキャスティングはとても魅力的だ。そのなかでもブラピ演じるリチャードの子供たちの乳母役を演じたベテラン女優アドリアナ・バラッザの演技は目を見張るものがあった。彼女が本作品の影の核的役割をなしていると思ってしまうほどであった。

あえて本作品に関して思ったのが

「物語を通して伝えたいことを多くしすぎて、監督は欲張りすぎちゃったかな・・・」

監督が『バベル』を通して1番伝えかったことは、

「子供たちが大人たちの犠牲になっている」という揺るぎない事実だと思うのです。

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2007.08.04

『恋愛睡眠のすすめ』

The_science_of_sleep 記念すべき映画評第一回目!!

『恋愛睡眠のすすめ』勝手に自己評価 ★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

なぜ、この作品を一番手にもってきたか?なぜでしょう?

自分でもわかりません。でも個人的にはこの手のロマンティック系は結構好きかも。

この作品のミシェル・ゴンドリー監督は2004年に第77回アカデミー賞脚本賞を受賞した『エターナル・サンシャイン』が記憶に新しいでしょう。そういう意味でも最新作である本作品には多少の意気込みはあったはず。

しかし私には、

「本作品で、ゴンドリー監督は前作『エターナル・・・』よりも自由気ままにのびのびと本当に撮りたかったものを撮れたんではないか。」

という好印象を持った。

もともとビョークなどの有名アーティストの音楽PVを手掛けていた映像の魔術師ゴンドリー、やはりCGなどを利用した映像表現に関してのアイデアはとても斬新で面白く、目を見張るものがあった。

さてさて肝心の内容はというと、

仕事も恋愛も失敗だらけの主人公ステファン(ガエル・ガルシア・ベルナル)が現実から抜け出して、睡眠中の妄想によって空想世界に逃避していくストーリー。いつしか現実と夢の世界の境目が分からなくなっていくステファン・・・。そしてラストに待ち受ける切なくもハッピーとは一体??といった感じのあらすじである。

主人公ステファンを演じるガエル・ガルシアはこの内気で悩める主人公をとても愛らしく演じている。『バベル』で見せた破天荒な役柄とは360度違うのだが、こちらも魅力たっぷりのはまり役・・。劇中で知ったことなんだけど彼は思ってた以上に背丈が小さいんだね。

あえて日本人でこのステファン役を演じさせるのなら、タカアンドトシのタカが合っているかも。どうでしょう?

とても気楽にみれる映画です。皆さんもDVDでぜひ観てみてね。

少し長くなりましたが、

今回の記念すべき映画評第一回目以上!!

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HELLO!HELLO!HELLO!

はじめまして。

ここでは、最近観た映画やDVDを勝手気ままに斬っていくことを趣旨としていきます。

あくまで批評は、私的な解釈や感想であるので、

ある人にとっては、

『ふ、ふざけんな・・』

『い、いいかげんにしろやー』という気分にさせてしまう内容になるかもしれません。

でも、大目に見てください・・・

私は映画が大好きです・・・

それはきっと、映画に対してさまざまな意見を持っているだろう皆さんとも共通していることだろうと思うのです。

では楽しみながら書いていこうと思います。

どうぞよろしく。

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