アカデミー賞受賞作品&ノミネート作品

2008.10.29

『4ヶ月、3週と2日』

映画批評45弾!!2007年カンヌ国際映画祭パルムドール(最高)受賞作品!!Photo_7

『4ヶ月、3週と2日』勝手に自己評価!!

☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(10点満点中9点)

すばらしい。

女性の心理を浮き彫りにし、息苦しいまでに美しい。

1987年独裁政権末期のルーマニアが舞台。望まない妊娠をしたルームメイトの違法手術を助けるヒロインの緊迫感あふれる一日を描く。大学生のオティリア(アナマリア・マリンカ)は予想外の事態が重なるが、友情と勇気で壮絶な決断を下すことになる。世代、国を越え、多くの人々の心にずっしりとのしかかる衝撃作。

役者の演技、脚本も良いが、なんといっても斬新なカメラワークがこの物語に息を吹きこんでいる。

日本でもしばし用いられる長回しと呼ばれるカットを割らない撮影技法、しかし一見固定で撮影しているように思うが、しばしフレームがぶれている。これは意図的か、登場人物の不安定な心情、悩める状況が巧妙に表現されているのである。

Photo_2カメラワークはそのままなのに、登場人物たちはやたらにしゃべってる、会話の相手は映らない。ヌーベルバーク作品を思い出させるのだが、何か違う。現代的でもある。

暗闇の中で、主人公の息遣いが聞こえる。

低トーンの画面端で誰かがこっちを見ている。

苛立つ心、それでも友人の元へと引き付けられる体。その違和感が、観客にリアリティを与える。

Photo_4若いながらもクリスティアン・ムンジウ監督の類まれなる才能は素晴らしい。周到なリサーチとルーマニア独裁政権の時代考証に裏付けされた徹底的なリアリズムの追求には驚かされた。

私がもっとも印象に残ったシーンは、ヒロインと恋人男性とが実家の部屋の中で言い争うところ。セリフの掛け合いは深刻なのに、なぜかユーモアにも思えてしまう。

二度は見たくはない。

女性には少し辛い内容かもしれない。

しかし、すばらしい作品であることは間違いない。

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2008.05.25

1HT●モーガンフリーマンの声『ミリオンダラーベイビー』○

HT=half timeの記念すべき一回目は、1937年生まれのあの人!!

ちなみにHTの内容にジャンルはありません。映画かもしれないし、CMかもしれないし、ペさんかも、ピさんかも、パさんかも、平成ジャンちゃらかもしれません。

今回は最初ということで、なんとなく・・・

○モーガン・フリーマン●Photo_2

最近は2008年5月10日から公開されている、

『最高の人生の見つけ方』でのジャック・ニコルソンとの共演で話題ですね。

このおいちゃんはプライベートではジェット機と船舶操縦の免許を持っていて、ロサンゼルスドジャースの熱狂的ファンらしいですよ。【キネマ旬報6月上旬号 ジャック・ニコルソンインタビューより】

うん、やっぱりこの人は声が良い。濃いコーヒーみたいに渋いんだけど、ミルクの滑らかさが美味く混じっていて、聴いていて耳に心地よいんです。

そこで今回は第77回(2004年)アカデミー賞作品賞受賞『ミリオンダラーベイビー』よりモーガン・フリーマン(本作で助演男優賞受賞)のナレーションで語られてきた作品名言集をバーといきます。

○“ボクサーはタフなだけじゃ足らない”

●“人間は血を好む、車の事故現場を覗き、ボクシングを楽しむ。

だが分かっていない・・・これは尊厳のスポーツ。

人の尊厳を奪い、それを自分のものとする”

Photo_4○“彼はボクシングを理屈じゃないと言う。

人の考えの逆をする。時に最高のパンチは一歩引いたときに打てる。

だが、引きすぎると闘いにならない”

●“自分だけに見える夢に、すべてを賭ける力を持つ”

◎これ長いけどお気に入り!!

“右に出たいときは左に行かず、右のつま先を前に出す

右へ出たいときは左のつま先・・・

人は痛みから逃げるが、ボクサーは自ら痛みを求める。

すべてが逆なのだ”

実際にボクシングの経験がなくても、納得してしまう部分もあるでしょう。少しでも興味を持った方は本編で、モーガン・フリーマンの声を実際に聞いて感じて、浸って、酔いしれてください。

Photo_3 『ミリオンダラーベイビー』ついでに自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

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2008.05.24

『フローズン・タイム』

映画批評41弾!!第78回アカデミー賞短編実写賞ノミネート作品 長編映画化!!Photo 

『フローズン・タイム』勝手に自己評価!!

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

これが8点!?なぜでしょうね。でも...スゲー好きなんです、ツボなんです。

完成度は決して高くはないのですが、その“遊び心が粋”です!!

美大に通うベン(ショーン・ビガースタッフ)は、恋人スージーにフラれたショックで不眠症になってしまう。そのおかげで一日が8時間も増えてしまったベンは、余った時間を有効活用するためにスーパー・マーケットの夜間バイトを始めることにする。

そこで働くのは、イタズラ好きの悪友コンビや新入りのカンフーオタク、時間恐怖症のレジ係のシャロン(エミリア・フォックス)とユニーク過ぎる面々。2週間眠れずにいたベンはついに、時間の観念を見失い突然・・・・周囲の世界がフリーズしてしまった。時間の止まってしまった世界を歩き回り、静止画の世界で美を味わう。そしてある日ベンはある女性に再び恋に落ちる・・・・

   監督は写真家のショーン・エリス。ゴルチエやランドローバー、リンメルなどのCMも手掛ける彼が、映像という異なるレンズをはめ込み、時間と空間を見事に止めたのだった。

Photo_5これは映画である、よくありがちな写真家の作る美しいだけの映画ではない。役者人の呼吸が、動きや空間を通じて伝わってきました。

間(空気)で笑いを誘う演出にはびっくり。ユーモアなシーンには「アホくさいなー」と思いながらもクスクスと笑ってしまいました。ウマイですよ、淡々としたストーリー展開と思いきや、中盤から後半まで奇妙なリズムを打ってくるんです。

好き放題やってても、守る部分はしっかり守る、そういった作り手の半紳士な姿勢に共感を持てましたね。

(以下ネタばれあり)Photo_6

気になるシーンはいくつかありましたが、ほぼ許容範囲です。一つ挙げるならば「ナタリーのキャラクターに一貫性が無かった」ことですかね。最後の方です、純粋なイメージが最後の最後で崩れてしまったのは勿体無い。

Photo_8  理由は、元彼女スージー=ナタリーを重ねてしまったこと。あれは必要なかった。あれっ、気にしたのは自分だけかな・・・(笑)

すげー!!感動!!・・・とかいう作品では決してないですよ。それでもこの映画が好きだったら、私と好みが一緒です。

短編バージョンも観てみたいですね。

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2008.04.22

『いまを生きる』

映画批評40弾!!1989年アカデミー賞作品賞&主演男優賞ノミネート作品!!Photo

『いまを生きる』勝手に自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

あなたは何かを感じるか、それとも何も感じないか。

時を経ても色褪せない、ストーリーのリアリティ。劇中のセリフには“生きる”ためのキーワードが宝の山のように隠されている。

1959年、バーモントにある全寮制の名門進学校にやって来た新任の英語教師キーティング(ロビン・ウィリアムス)。破天荒かつユーモアな授業を通して、言葉の真の美しさや生きることの素晴らしさを説く。

そんな教師の魅力に惹かれていった生徒達は、キーティングが嘗て学生だった頃に結成していた“死せる詩人の会”という同好会を自分たちの手で復活させようとするのだった。 真夜中に寮を抜け出す生徒達、彼らそれぞれの人生に素晴らしい光が差し込もうとした時、突然の不幸なニュースが起こってしまう・・・・

今回は少し形式を変えて映画『いまを生きる』を見つめていこうと思う。

というのも、私があるきっかけから、この作品を観て、ある課題で、この作品の感想文を書くことになったからである。

以下の文章はその課題作文の内容を、再度短い尺でまとめ直したものである。

時にはこんな文章も面白いでしょう?

私は真っ暗な部屋の中、ロビン・ウィリアムス主演映画「いまを生きる」(1989)のエンドロールをただ呆然と眺めていた。ロビン・ウィリアムス演じるキーティングが「くそったれ、プリチャートはアホだ」と言い放ったのは本編が開始してからほんの20分足らずだっPhotoた。私はその瞬間この作品に引き込まれていった。

例えば、自分のこれまでの学生生活で出会った数十人程の教師の中で、今もなお記憶に残っているような“言葉“を与えてくれた人というのはほんの数人であろう。

しかし、今思い返せばそれは、学を教えくれた教師側の問題ではなく、それを受け取る私たち学生側の問題であるということを感じた。

Photo_2 もしかしたら、隠れて友人と将棋ばかりやっていた理科の授業で、私の知らない名言が生まれていたのかもしれない。何かと理由をつけて通っていた保健室、白衣を着ていた眼鏡の先生が大事なことを私に伝えようとしていたかもしれない。

そう考えると教師、生徒関係なしに、言葉で自分の心を実際に動かされたという体験は少なく、それだけ人との真の出会いというものが本当に大切なものであるということを実感した。感じるか、感じないかのたった二つの分かれ道なのに、人生を大きく変えるターニングポイントにも成り得るのである。

とても印象に残ったシーンがある。

それはラストシーンでキーティングが教室を去る場面である。『クラスの半分の生徒が机の上に立ち感謝の念を示し、残りの半分は座り込んだまま、彼に背を向けていた』のだ。そして最後にキーティングは彼らににっこりと笑いかけ「ありがとう」と言う。

「人間は多くの人に好かれようとしている。しかし、そんな欲張りなことをしてはいけない。半分の人の記憶に残れれば、それで十分なのだ」

私は初め、邦題を「いまを生きろ」と勘違いしていた。「いまを生きろ」はキーティングのメッセージであるが、キーティングも当然、今を生きている側の人間として描かれている。そして私も、劇中の学生と同じようにその答えを探し続けなければならないのだ。

「いまを生きる」ことはそんなに容易い事ではない、だからこそ幸福や喜びがある。この映画を友人にすぐにでも教えたくなった。

              from 未熟夢人

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2008.04.05

『ノーカントリー』

映画批評38弾!!第80回アカデミー賞 4部門受賞!!Photo_6

『ノーカントリー』勝手に自己評価!!

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

この作品を超えるものはしばらく出てこない、本編が始まってすぐに分かりました。

ゾクゾクと込み上げてくる驚喜の泡・・・こんなモンスターヒーローを待ち望んでいたのかもしれない。

変わりゆく80年代のテキサスを舞台に、ヘロイン密売人が絡んだ大金をネコババした凡庸な男が、非情な殺し屋に追われるヴァイオレンスサスペンス。

監督は二つの体に一つの頭を持つと言われるコーエン兄弟。『ファーゴ』(1996)ではカンヌ国際映画祭監督賞に加え、アカデミー賞オリジナル脚本賞も獲得。『オーブラザー!』(2000)では二人で共同し脚本を手掛け、アカデミー賞および英アカデミー脚色賞にノミネート。その独特の演出法から生まれる世界観は多くの映画ファンを魅了する。

メキシコ国境に近い砂漠にて、ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)は銃撃戦後の死体の傍で偶然、200万ドルの大金を発見する。盗んで逃げるという選択肢をとったモスは、雪だるま式に追い込まれていく。追う男・謎の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)は不気味な酸素ボンベエアーガンを携え、モスの行方を容易に嗅ぎ付けていく。事態を察知した保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、2人の行方を追い調査し始めるのだが。

(↓以下ネタばれあり)

Photo モスって無計画で、その上ひとつひとつの行動が結構雑なんです。そこがすごく物語を面白くしている気がします。逃げる男・モスのキャラクター設定が私たち一般人に割と近い視点で置かれているので、“追われている”という独特の緊迫感と恐怖を生み出すこと成功している。

超人シガーVS凡人モス・・・簡単に言うとそんな感じ。Photo_2

殺人鬼シガーは絶対に曲がらないんです。固まった油の棒のようにボッテリとしていて、全身に異様なエネルギーが詰まっているイメージ。彼シガーに少しでも慈悲の心があったら、この作品はこれほどまでに評価されなかったのかもしれないですね。

キャラクターの髪型から細かく演出していくことで知られるコーエン兄弟のこだわりが随所に見られ、これが真の映画なんだ・・・と実感させられました。

あっそういえば、一つ気になるシーンがありました。それは“殺人犬が河に飛び込んだモスを猛スピードで追いかけてくるシーン”。CGじゃなかったんですね。あのシーンは殺人鬼に追Photo_4われる以上に怖い・・・ですね。

本当に衝撃的な作品でした!!

今年は良い映画が本当に多い気がします。映画批評の更新も頑張ります。

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2008.02.16

『潜水服は蝶の夢を見る』

映画批評37弾!!すべてを失くした人間の視線の先にあるものとは!!

Photo_2『潜水服は蝶の夢を見る』勝手に自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆

(10点満点中7点)

瞬きをして観てはいけない、目を見開いて一瞬一瞬を噛締めて感じるんだ。

見終わった後に、心地よい疲れと不思議な充実感が生まれる。

ジャン=ドミニク(マチュー・アマルリック)は目覚めた場所は病室。子供とドライブ中、突然脳梗塞にかかったドミニクはある日から言葉が通じない、身体も動かない状態になってしまう。唯一、動くのは左眼のまぶただけ。つい先日までは、ELLEの編集者として精力的に活躍していたドミニク。看護婦や家族、友人に支えられながらも、次第に彼は明日への光を見つけていく。ある日、編集者が訪ねてきて、ドミニクに自伝を書くように勧めるのだった。

実話を基に『バスキア』『夜になるまえに』の画家出の俊英、ジュリアン・シュナーベルが完全映画化した感動のロマン。

待ちに待っていたジュリアン・ジュナベールの新作は、予想を大きく上回るあまりに衝撃的な映像美でした。観た人は分かると思いますが、この作品はとにかく視覚を刺激します。

主人公との間に、不思議なくらい自然な一体感が生まれてくるんです。Photo_4

感情移入とは違う、体感移入とでもいったらいいでしょうか。それはディズニーのアトラクションのようで、しっかりとした根の張った映像作品なんです。

とても革新的でした、私達のような若い世代には、これまで観てきた映画作品のなかでも類を見ないものでしょう。実際私もそうですから、改めて過去の映画をもっと知るべきだと思いましたね。

左目の瞬きをする間の一瞬の視界だからこそ、そこには無限に広がる幻想的な世界が生まれたのでしょう。

Photo_7 ジュナベールには今年の(第80回)アカデミー賞監督賞獲ってもらいたいですね。

 

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2008.01.13

『ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女』

映画批評34弾!!ディズニー史上最高のスケールで描くシリーズ第1弾!Photo_5

『ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女』勝手に自己評価!!

★★☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中2点)

こんなに薄っぺらい内容にするならわざわざ実写化する必要なし。

映画を観る子供も単純じゃない、つまらないものはつまらない。

第二次世界大戦下のイギリス、戦火から逃れるために、四兄妹は田舎に住むカーク教授の家に預けられる。ある日、かくれんぼの最中に末っ子のルーシーが、布に覆われていた衣裳タンスの中へと身を隠そうとする。すると、毛皮のコートの奥には真っ白い雪に包まれた神秘的な風景が広がっていた。ナルニア国への入り口が今開かれた・・・

今更、どうのこうの感想を述べるのもどうかと思うが、期待通りでした。悪い意味で・・・。

恐らく原作を二時間弱で収めきるには相当苦労したんでしょう。

Photo_3結果的に観る人に何を伝えたいのか理解できなかった。

続編も同じ感じだと、さすがに感受性の豊かな子供にはバレますよ、何だか薄っぺらい内容だなぁ、ハリーポッターシリーズの方が断然面白いじゃんって・・・

この映画で描かれる登場人物の子供って、キャラクターに一貫性がないんです。兄妹の個性も浅いし、キャラ設定も弱いから最後まで印象が薄い。気持ちの変化はあっていいと思います。物語の始まりとラストとを比べてみると、勇気、優しさ、愛情が自然と身についていたりすることです。単純ですが、本当に大切なんです。

特にファンタジー映画などは、登場人物と一緒に成長できるところが一番の素晴らしいところなんですから。

ケイト・ブランシェットが出演してなかったらどうなっていたんでしょう。

作品を通して印象に残っているのは、CGを駆使した戦闘シーンでもなく、ライオンが鬣をなびかせ吠えるシーンでもなければ、ケンカばかりしていた兄妹が助け合うシーンでもない。ケイトが演じた真っ白い魔女の美しさだけでした。Photo_4

次回第二弾は評判がよっぽど良くなければ確実に観ないっすね・・・

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2008.01.10

『ディパーテッド』

Photo_2映画批評33弾!!第79回(2007)アカデミー賞4部門受賞作品!!

『ディパーテッド』勝手に自己評価!!

★★★★☆☆☆☆☆☆10点満点中4点)

日本人には好かれない内容ですね、ストーリーに緻密さがまったく無い・・・

スコセッシ以外の監督が作っていたら多分納得できなかったでしょう、恐らくただのB級映画になっていたはず・・・

舞台はマサチューセッツ州ボストン、犯罪者の一族に生まれたビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)は、自らの暗い生い立ちと決別するため警察官を志し、優秀な成績で警察学校を卒業する。しかし、警察に入るなり、彼はマフィアへの潜入捜査を命じられる。一方、マフィアのボス、コステロ(ジャック・ニコルソン)にかわいがられて育ったコリン・サリバン(マット・デイモン)は、内通者となるためコステロの指示で警察官になる。Photo_3やがて、コリンはマフィア撲滅の最前線に立つ特別捜査班に抜擢され、コステロを標的とした捜査活動に加わることになるのだが・・・。

ラストシーンは納得です。

スコセッシならではの観客を突き放すようなあっけなさにはさすがの一言でした。ただストーリー全体を通して、ハラハラとか、ドキドキとかはまったく無いですね。

Photo_4警察、マフィア双方ともに内通者の存在をかぎつけ、いよいよ2人は窮地に追い込まれていく緊迫のシーンでも、シナリオに緻密さがないから登場人物の心理状態もあまり伝わってきませんし・・・感情移入も当然無理です・・・

カット割りの雑さ、テンポの悪いストーリーはスコセッシの表現スタイルであって、恐らく戦略通りなんでしょうね。この作品が好きな人って相当映画が分かる人だと思います。私的にはスコセッシ作品は『タクシードライバー』(主演:ロバート・デニーロ)以来ヒットは無いですけどね・・・。

B級映画の一歩手前で留めることができるのはスコセッシくらいでしょう。中途半端な映画は普通好まれませんが、スコセッシだとなんだか不思議としっくりくるんですよね。私は、このようなB級映画でもなく、上手い具合に中途半端な領域を保っている作品のことをスコセッシゾーンと呼んでいます。

Photo_6

もうそろそろスコッセッシ&デカプリオのコンビは解散してもいいんじゃない でしょうか。あんまりしっくりきてない気がするんです・・・この二人は。

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2007.12.28

『サイドウェイ』

映画批評32弾!!第77回(2005)アカデミー脚色賞受賞作品!!Photo_2 

『サイドウェイ』勝手に自己評価!!

★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)

ユーモアなキャラクターにジワリジワリと笑わされてしまう。

上質なコメディーを見せられてるようでした・・・

作家志望のマイルス(ポール・ジアマッティ)といまや売れない過去の役者のジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)は、ジャックの結婚決定の祝いを兼ねてカリフォルニアのワイナリーを巡るとりとめのない旅に出発することになる。ふさぎがちで自己嫌悪の強いマイルスと、女性と寝ることしか頭にないジャック。こんなふうに旅の目的も性格も大きく異なる中年の2人・・・さて旅の行く末はどうなるものか?

監督は『アバウト・シュミット』(ジャック・ニコルソン主演)のアレクサンダー・ペイン。主人公のワインを愛するダメ男マイルス役には『アメリカン・スプレンダー』のポール・ジアマッティ。老中ウディ・アレンも注目しているというアレクサンダー・ペインの演出力は見所十分。久々に腹を抱えて笑ってしまいました・・・

Photo_3 品のある中にどうしようもない下品さがあって、これが作品全体にピリッとしたスパイスを与えている。

確かに後味の悪さもありますが、これだけ素晴らしい演出だと納得してしまうんです。きっとすべての演出が監督の計算のうちなんだろうと・・・

まったく正反対の性格を持った二人の登場人物を、セリフ回し以外に、カメラワークによる映像表現によってそれぞれのキャラクターに異なる印象を生み出しているのがとても面白い。

私の中では久々のヒットです、 笑いのツボに見事に入りました。4_2

作品の内容は、男の気持ち・言動を実にうまく表現しています。実際のところ、男の友情ってこんなもんなんです。どうでもいいようなことを言い合って、笑い合うときが人生でもっとも幸せなヒトトキなのかもしれません。

女性にはまったく分からないような男の行動ってあると思うんです。急に走り出したり、不機嫌な態度をとったりとか・・・。男性目線で作られている作品なので基本的には男性向けですが・・・男心の理解に悩んでいる女性にはお勧めの映画です。理屈ではない男の本能が巧みに描かれています。

サイドウェイ=寄り道。

久しぶりに地元の友達と酒を飲みたくなりました。

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2007.10.04

『砂と霧の家』

Photo 映画批評14弾!!2003年アカデミー賞主演男優賞ノミネートのベン・キングズレー出演ヒューマン映画!!

『砂と霧の家』勝手に自己評価!!

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中1点)

観終わった後、ワダカマリだけが心に残る酷い映画。

この手のテーマで“美しい死”を表現しようとするのは大きな間違いです・・・

アンドレ・デビュースが著した同名の原作を基にした本作。『ガンジー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したベン・キングスレーが、第76回(2003年)アカデミー賞主演男優賞にもノミネートしたヒューマンドラマ。一軒の「家」に愛情を注ぎ続ける一人の女ジェニファー・コネリーと、過去の栄光をプライドとして持ち続けようとするイラン系移民の一家が巻き込まれていく悲劇をえがく。

はっきりいって私的にはここ最近観た映画の中でもワーストに入る出来の内容でした。

※以後ネタばれ注意→本作で伝えたいことが“単なる悲劇”というだけなら、“子供が警察に撃たれて死ぬこと”“イランを亡命した夫婦の心中”といったシナリオの結末はありなのかもしれませんが、“人間の弱さ”や“権威”、“執着心”や“民族間の偏見”など伝えるべきもっと大切なことが原作の中にはあったはずです。結果としてあまりにもお粗末な印象を受けました。

実話を基にしているものだったり、芸術的要素を重視したもの、映像表現に力を入れたものなどそれ相応のテーマで作った映画なのだったら許される表現なのですが・・・救いや希望を持たせない内容には疑問を持ちますし、”人間の死”で観る人に感動や衝撃を与えようとする内容のつくりには良い印象を持ちません。ストーリーの中で徐々に主張していくのなら良いのですが、完全にラストのシーンに物語の重点を置きすぎましたね。

せっかく、土地・住居をめぐる争いを主題としているとても現実的で興味深い内容であるのに登場人物の行動が幼稚すぎだったり、極端すぎてあまりにもリアリティがなさすぎる。この小説を映像化するのはそもそもミスだったのかもしれません。

作品の内容がこれだけ悪かったら、俳優人がどれだけいい演技をしても結局共倒れになってしまい酷です。

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2007.09.09

『ボルベール』

映画批評第9弾!!巨匠アルモドバル&主演ペネロペ・クルス!!

『ボルベール』勝手に自己評価!!

★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点) Photo_3

アルモドバル特有の世界観は健在。

女性の生き生きとした姿をダイナミックに、美しく表現している。

失業中の夫の分まで働く、明るくたくましく生きるライムンダ(ペネロペ・クルス)。だが彼女の留守中に、夫に関係を迫られた娘パウラ(ヨアンナ・コパ)は勢いあまって父親を刺し殺してしまう。事実を知ったライムンダは必死に事件の隠蔽を図り、夫の死体をレストランの冷蔵庫に運び込む。そこに客が現れ、ライムンダは急遽料理を振舞うことになる・・・。

物語の内容は、ミステリアスな部分とヒューマンドラマの要素が混じりあった感じ。普通なら多少の違和感を持ってしまってもいい内容だが、そこは数々の海外の映画祭でも高い評価を得ているアルモドバル監督が【人間の死】というテーマを軸として取り上げ、観客にも観やすく、うまく調和させています。

彼の作品って時々「それ斬新やなー」っていう素人が想像もつかないような演出をしたりするんです。今回のレストランの冷蔵庫に死体を入れたまま食事を出したりするところとかってなかなか思いつかない・・・万が一思いついてもそのシーンはドロドロとしたサスペンスで使われたりすると思うんです。彼の場合これを実にさらっと物語にはめ込んでしまっている、パズルの一ピースのように・・・。

まぁ、逆に「何やそれ?」っていうシーンもありましたけど。ライムンダの母親の懐かしい香りをおならの匂いだとか言って笑いあうシーンは、一体どんな母親なんだよっと思ってしまいました

アルモドバル作品の良さって、脚本制作の時点でほぼ出来上がっていると思うんです。だから俳優だったり、制作スタッフだったり、カメラマンが、彼の作る脚本を基にして連動できている、同じ意図を持って作品を組み立てていけるんじゃないんでしょうかね。私は彼の作品を観る度にいつもそう思ってしまいます。

日本の監督でもシナリオライターや映像作家から映画監督へと進む人も多いですよね。監督によって自分特有の表現を作品の中に注入していく方法はさまざまなのでしょう。

ペネロペ・クルスの女優としての良さが出ているのは今作品が久々な気がします。

その華麗さと美貌は改めて実感しましたが、なんでボルベールを自分で唄わずに口パクにしたんですかね。少しショックでした・・・せっかくならペネロペ本人に唄ってほしかったな。

ベテラン女優カルメン・マウラも、煮え切れなかった娘との関係を修復するために戻ってきたライムンダの母親役を、実に愛らしく明るく演じていて、とてもすがすがしかった。

女性賛歌三部作の最終章ここに完結。次回作にも大いに期待しましょう。

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2007.09.01

『カポーティ』

映画批評第7弾!!2005年アカデミー賞5部門ノミネート作品!!

『カポーティ』勝手に自己評価!!

★★★★☆☆☆☆☆☆(10点満点中4点)

主人公を演じたホフマンの怪演ぶりはお見事!!

“キショクわるさ” は鳥肌が立つほど伝わりました・・・

本作『カポーティ』は、「ティファニーで朝食を」の原作者としても知られる作家トルーマン・カポーティが、カンザス州の農村で起きた一家惨殺事件を取材して「冷血」を書き上げるまでをつづった実録もの。殺人犯との交流やゲイだったカポーティの素顔と野望、そして葛藤が描かれる。

監督には、ドキュメンタリーやCMの出身である新人ベネット・ミラー。そして主人公カポーティ役には名脇役で知られるフィリップ・シーモア・ホフマンをキャスティング。自ら制作にも乗り出し、見事に本作で第78回(2005年)アカデミー主演男優賞をものにした。

ある意味で、予想を裏切られた映画でした・・・

ストーリーは淡々としたテンポで進むことは見当がついていたのですが、主人公カポーティを演じたホフマンの怪演ぶりには驚きました。ふちのある丸めがねに色白の肌、耳に残る少し高いトーンの声と、独特のテンポで話しかける姿。すべてが計算された緻密な演技は見事でした。

本の題名にもなる「冷血」な人間とは、一家四人を惨殺した殺人犯の方ではなく、カポーティ本人だったのでしょう・・・

それだけに、この作品を観ている人が、ストーリーの中でカポーティの気持ちに自然と感情移入ができていたら楽しくみられる映画なんでしょうね。なかなか難しいだろうけど・・・。

感情移入・・・私には、それが出来なかった。それで登場人物とは少し距離を置いた場所から眺めるように作品を見ていました。客観的に作品を観る大切さというのもありますが、この作品の場合、流れがスローテンポだし、特有のもわりとした雰囲気があって体にうまく馴染まず少し退屈に感じてしまったんです。

Photo

そういえば最近、同姓愛をテーマにした社会派の大作映画がよく見られますが、どうなんでしょう? しばらくこの流れは続くんでしょうかね・・・

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2007.08.05

『バベル BABEL』

     映画評第2回目!!

『バベル BABEL』勝手に自己評価 

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

賛否両論で分かれるこの作品・・・

さて皆さんはどう評価しますかね??

ちなみに私は“賛”組に入ったのですが、観た人によって感じ方が違うのも納得はできます。

なぜなら、物語の“ツナギ”があまりにも上手く出来過ぎているためです・・・結末も十分納得のいける形になっている、しかしなんだかふいに落ちないという感じですかね。         

「よく分からなかった」「退屈だった」という人はおそらく、冒頭からラストまで殺伐とした流れで続いていくストーリー展開に体が合わなかった人でしょう。

前作の『21グラム』(03)でアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作品の雰囲気を体験済みの人にとっては理解できると思いますが、最初から最後まで本気で観ようとすると彼の作品は相当体力を消耗します。私的には今回の作品のほうが、前作『21グラム』よりかは比較的観やすかった気がしますが・・・ 

『バベル』にはまった人はぜひとも前作『21グラム』を観てみてください。  

物語はモロッコ、アメリカ、メキシコ、日本の4国が一発の銃声で結ばれていく。言葉が通じない、想いも伝わらないときに私たち人間はどうやって相手に心を通わせていくのかというかなり壮大なスケールのヒューマンドラマ。

本作で、アカデミー賞助演女優賞にノミネートした菊池凛子の裸体や演技力をどうこうは言えないが、彼女が演じた聾唖の女子高生の存在感は周りの豪華俳優人を飲み込むほどであった。やはり彼女の強い目力効果だろう。

そのほかブラッド・ピッドをはじめケイト・ブランシェット役所広司ガエル・ガルシアなどキャスティングはとても魅力的だ。そのなかでもブラピ演じるリチャードの子供たちの乳母役を演じたベテラン女優アドリアナ・バラッザの演技は目を見張るものがあった。彼女が本作品の影の核的役割をなしていると思ってしまうほどであった。

あえて本作品に関して思ったのが

「物語を通して伝えたいことを多くしすぎて、監督は欲張りすぎちゃったかな・・・」

監督が『バベル』を通して1番伝えかったことは、

「子供たちが大人たちの犠牲になっている」という揺るぎない事実だと思うのです。

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