☆☆☆残念

2008.12.04

『ハッピーフライト』

Photo_2映画批評47弾!!矢口史靖監督が「ヒコーキ」をテーマにした最新作!!

『ハッピーフライト』勝手に自己評価!!

★★★☆☆☆☆☆☆☆10点満点中3点)

矢口監督だからこそできた、航空会社のためのムービー

さまざまな制約と、思惑を感じる。物足りないのは矢口監督自身??

場所は空港。主役は飛行機、それを支える様々な働きマンの物語。機長昇格への最終訓練のため操縦に臨む副操縦士(田辺誠一)。彼の試験教官として同乗する堅物機長(時任三郎)。彼に飛行中、鋭く激を飛ばされるCA泣かせの鬼チーフパーサー(寺島しのぶ)。彼女に指導を受ける国際線初業務のほんわかCA(綾瀬はるか)。乗客の野次、クレームに追われ、時に喜びと安堵に触れられる過酷な日々を送るグランドスタッフ達。安全な飛行のために最善の注意をはかりメンテナンスする整備士達、などなど…登場人物は様々。

Photo_5 1台のヒコーキの1回のフライトなために悪戦苦闘するスタッフ達をユーモアたっぷりに描き出した本作品。矢口史靖監督だけあって、もちろん予定通りには進まないフライトプラン、簡単には離着陸させません。緻密な研究が可能にしたシナリオはサスガです。

本作品はANA(全日本空輸)の協賛なしでは完成なしえなかった映画でしょPhoto_3 う。空港をロケーションのために設営し、機内の様子を忠実に再現するにはハリウッドのような莫大な予算がないと出来ないわけですから。そう考えると「ターミナル」(トムハンクス主演)の舞台になったエアポートは作品のためにわざわざ作ったわけですから、スゴイですわ。

日本映画のように限られた資金で、ヒコーキムービーを作るとなると、やっぱり航空会社の熱心な協力体制が無いと成立しないですよね。特に実際の現場をロケ地として提供する姿勢にはとても感心させられました。

しかし、そうなると・・・制作者側にはある種の制約が課せられるわけです。協力してくれた会社との約束事。

それゆえにテーマを「安全、安心なフライト」と置くのは必須だとして、そこにPhoto_6 HAPPYになれる面白さを盛り込んだのは矢口脚本のうまさでしょう。

しかし飛行機内で起こる出来事といったら、従来の飛行機を題材にしたドラマや、海外映画で予想はできちゃうわけです。その予想を大きく上回るようなアイデアや印象的なシーンが盛り込まれていなかったのには少し残念・・・

Photo_4 全編、空港内ロケにすれば矢口監督の見せ場はもっと見れた気がするなぁ。

ハリウッドで主流になっている映画コンテンツを利用したプロダクト・プレイスメント手法を見ると感じることなんですが、やっぱり純粋映画に、企業の『売り』行為が絡むとどうしても疑問を抱いてしまう。サジ加減の難しいところです。

面白いんです。しかし映画を映画として観ることができなかったのは恐らく私のツマラナイ部分なのでしょう。

フジ×東宝の枠から一度離れて、PFF時のような矢口監督の全力投球アイデア勝負の崖っぷち作品を観てみたいものだ。

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2008.04.07

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』

映画批評39弾!!第60回カンヌ国際映画祭オープニング作品!!

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』勝手に自己評価!!

Photo ★★★☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中3点)

距離を様々な角度から描くのは面白いが、プツリと切れてしまう編集法には、意図があろうとも、少し違和感を感じてしまいました。

ウォン・カ-ウァイは日本人寄りの感覚を持ってる、アジア色が滲み出ています。

失恋した私にもう一度恋をする勇気をくれたのは、あなたのブルーベリー・パイでした・・・。恋人の突然の心変わりで失恋してしまったエリザベス(ノラ・ジョーンズ)。フラれた恋人の家の向かいにあるカフェに通いつめるうちに、店のオーナーであるジェレミー(ジュード・ロウ)と徐々に親しくなっていく。ジェレミーはふせぎ込む彼女のために、毎晩カウンター席にブルーベリー・パイを残しておくようになる。ある日、旅立つ決意をしたエリザベスはNYから姿を消す。数ヵ月後、ジェレミーの元に一通のハガキが届く。

過去には『恋する惑星』(94)『ブエノスアイレス』(97)『2046』(04)などヴェネチア、カンヌを始め世界各国で高い評価を受けているウォン・カーウァイ監督の初全編英語作品に豪華キャストが集結。

グラミー賞8冠の栄光に輝いたノラ・ジョーンズが本作で待望の映画デビュー。彼女に想いを寄せるカフェオーナーの役にはジュード・ロウ。脇を固めるのは、アカデミー賞受賞・候補者の実力派・・・ナタリー・ポートマンデイヴィッド・ストラザーンレイチェル・ワイズが名を連ねた。

Photo_5

人々を隔てる“距離の遠さ”を表現したいのは分かるが、その距離を黒いバックに白い数字で表すだけではどうもピンと来ない。ただ短編ストーリーのような内容を無理にはめ込め、つなぎ合わせたりしていないので、物語に隔絶感を感じさせてくれることは確かではある・・・。

ロードムービーとは言えないでしょう。内容には捻りも驚きもありません。単純なメロドラマです。しかしウォン・カーウァイ監督自身が「僕はこの作品を、まさに最初の監督作品と見なしている」といっている位だから、本人的には納得なのでしょうね。確かに原点に立ち返ったスマートな作品と言えるしょう。

前作『2046』の度重なる撮影延期や取り直しの経験があったため、今作品は最低限の準備で低予算映画で挑んだのでしょう。無駄は無い変わりに厚みもありません。Photo_4

それにしてもカメラワークは良かった

映像の美しさはもちろん、ストラザーンが渋い駄目男を演じ、あれだけの哀愁感を醸し出せたのも撮影スタッフの綿密さが後押ししてくれた所以もあるでしょう。ショーウィンドウ、防犯カメラレンズ越しから、映し出される鏡のような視角空間の生み出し方には驚きました。

ラブストーリー好きの女性でも、案外好き嫌いで分かれるかもしれません。

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2007.11.19

『ハピネス』

Photo 映画批評28弾!!1998年ゴールデングローブ脚本賞ノミネート!!

『ハピネス』勝手に自己評価!!

★★★☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中3点)

いやぁ~フィリップ・シーモア・ホフマンはホント最高ですね。

今作品で取り上げたテーマがたまたま好みじゃなかっただけで、監督の才能は認めます。

いたずら電話で妄想に勤しんでいる汗っかきのデブ男、少年レイプ魔のパパ、生き方の違う個性的な三姉妹を取り囲む人々にスポットをあて、アメリカの郊外に生きる人々の心の奥底にあるドロドロの欲望を静かに浮かび上がらせる内容である。常軌を逸した彼らの行動が妙に説得力があり、リアリティを感じてしまうから不思議である。

監督をつとめたのは過去に、サンダンス映画祭グランプリを受賞したインディーズ映画界の鬼才トッド・ソロンズ。ズラリと揃ったクセモノ俳優たちのリアルな演技も光っている。そこらじゅうに毒気であふれているのに、登場人物たちに対する視線はどこかやわらかい。ブラックユーモアを交えた神経を逆なでするようなエピソードを、ユーモラスに表現している。

ただ・・・笑えない下ネタって一番しんどいです。観ていてよい心地がしない。

この作品は「性」に関する屈折したテーマを物語の一要素として取り挙げ、人々の性への葛藤や欲望を描いているので、そういった部分から考えれば、これはブラックユーモアなんだ!!って開き直られたら仕方ないと言えば仕方ないんですが、私から見るとどうしても、芸がないって感じちゃうんです。

テレビに映る芸人を見ていても、笑えない下ネタを言った時、その場の空気は恐ろしいほど凍りつくことがありますね。周りの芸人仲間からも「それはねーよ」みたいに厳しい野次を飛ばされている光景も何度か見かけます。しかし時と場合によっては、どっと笑いを引き起こす事もあるのだから難しい・・・ちょっとしたサジ加減の違いでその効力は大きく変わってしまう。

その点で考えてみても、この作品のフィリップ・シーモア・ホフマンの変態さにはなぜだか愛嬌があって、微笑んでしまいますから不思議ですよね。この役者の演技は本当にすごいですよ。

しかしながら、この監督には未知数の才能を感じます。

ストーリーや映像で魅せるのではなく、空気感でPhoto_2映画全体の形を創りあげ、観客を薄っすらと異質な雰囲気に包み込む。登場人物たちのみょうちくりんなセリフのやり取りから生まれる何ともいえない空気感が絶妙なんです。

今回は評価を厳しく付けましたが、この監督は要注意です。題材次第ではいつの日か満点をたたきだす可能性を感じさえします。活躍に期待しましょう。

●『ハピネス』(1998/アメリカ/134分)

監督、脚本:トッド・ソロンズ

出演: フィリップ・シーモア・ホフマンディラン・ベイカー

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2007.10.25

『さくらん』

映画批評21弾!!フォトグラファー蜷川実花初監督作品!!Photo_3

『さくらん』勝手に自己評価!!

★★★☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中3点)

想定の範囲内の出来栄えでした・・・

『大奥』観るならまだこっちのほうがいいかも。

吉原の玉菊屋に連れてこられた8歳の少女。きよ葉と名付けられた彼女は、高級花魁・粧ひに面倒を見られることになった。玉菊屋から何度も脱走を試みるきよ葉だったが、粧ひに導かれるように吉原一の花魁を目指す事を決意した。やがて17歳となったきよ葉は、美貌と鼻っ柱の強さで一躍江戸中の注目を集める存在になっていく・・・

本作で初監督を務めたのはフォトグラファーの蜷川実花。本人たっての希望から安野モヨコ原作の人気漫画を完全映画化した。主演には土屋アンナ、脇を固めるキャストには木村佳乃菅野美穂夏木マリ安藤政信成宮寛貴永瀬正敏ら豪華俳優人を集結させた。音楽は椎名林檎が担当。

1番印象的だったのは身体を張った女優キャスト陣の演技でした。あそこまでやる価値がこの作品にあったのかはしばし疑問でしたが、強い女優魂を感じました。

女性が監督する映画って役者人のこれまでとは違った一面を見出したりするので、時々驚かされます。

日本のソフィア・コッポラなどともてはやされているのを聞きますが、ソフィア・コッポラのデビュー作『ヴァージンスーサイズ』(出演:キルスティン・ダンスト)がとても完成度が高かっただけに同じ映画初監督作品として比べてしまうと、完全に力量不足でした・・・

ただ今後の活躍は大いに期待出来ると思います。今作品でも彼女の写真家としての色が、動く映像になってもうまく還元できている部分はありましたから。

美術、衣装、装飾品、色彩にこだわり伝統的な江戸の世界を華麗に描こうとしているわりには、ところどころでありきたりなCG処理に頼ってしまっていたのはとても残念でした。

全体的に観客への見せ場が少なく、色濃い映像の割には印象的なシーンが無かった気がしました。

Photo_4 配色にこれだけこだわっているんだから、せっかくなら最初から最後までリアルな被写体の中での美しさを追い求めてほしかったです。

土屋アンナ(左)と蜷川実花監督(右)

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