☆☆☆☆☆☆☆☆熱狂

2008.05.24

『フローズン・タイム』

映画批評41弾!!第78回アカデミー賞短編実写賞ノミネート作品 長編映画化!!Photo 

『フローズン・タイム』勝手に自己評価!!

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

これが8点!?なぜでしょうね。でも...スゲー好きなんです、ツボなんです。

完成度は決して高くはないのですが、その“遊び心が粋”です!!

美大に通うベン(ショーン・ビガースタッフ)は、恋人スージーにフラれたショックで不眠症になってしまう。そのおかげで一日が8時間も増えてしまったベンは、余った時間を有効活用するためにスーパー・マーケットの夜間バイトを始めることにする。

そこで働くのは、イタズラ好きの悪友コンビや新入りのカンフーオタク、時間恐怖症のレジ係のシャロン(エミリア・フォックス)とユニーク過ぎる面々。2週間眠れずにいたベンはついに、時間の観念を見失い突然・・・・周囲の世界がフリーズしてしまった。時間の止まってしまった世界を歩き回り、静止画の世界で美を味わう。そしてある日ベンはある女性に再び恋に落ちる・・・・

   監督は写真家のショーン・エリス。ゴルチエやランドローバー、リンメルなどのCMも手掛ける彼が、映像という異なるレンズをはめ込み、時間と空間を見事に止めたのだった。

Photo_5これは映画である、よくありがちな写真家の作る美しいだけの映画ではない。役者人の呼吸が、動きや空間を通じて伝わってきました。

間(空気)で笑いを誘う演出にはびっくり。ユーモアなシーンには「アホくさいなー」と思いながらもクスクスと笑ってしまいました。ウマイですよ、淡々としたストーリー展開と思いきや、中盤から後半まで奇妙なリズムを打ってくるんです。

好き放題やってても、守る部分はしっかり守る、そういった作り手の半紳士な姿勢に共感を持てましたね。

(以下ネタばれあり)Photo_6

気になるシーンはいくつかありましたが、ほぼ許容範囲です。一つ挙げるならば「ナタリーのキャラクターに一貫性が無かった」ことですかね。最後の方です、純粋なイメージが最後の最後で崩れてしまったのは勿体無い。

Photo_8  理由は、元彼女スージー=ナタリーを重ねてしまったこと。あれは必要なかった。あれっ、気にしたのは自分だけかな・・・(笑)

すげー!!感動!!・・・とかいう作品では決してないですよ。それでもこの映画が好きだったら、私と好みが一緒です。

短編バージョンも観てみたいですね。

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2008.04.05

『ノーカントリー』

映画批評38弾!!第80回アカデミー賞 4部門受賞!!Photo_6

『ノーカントリー』勝手に自己評価!!

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

この作品を超えるものはしばらく出てこない、本編が始まってすぐに分かりました。

ゾクゾクと込み上げてくる驚喜の泡・・・こんなモンスターヒーローを待ち望んでいたのかもしれない。

変わりゆく80年代のテキサスを舞台に、ヘロイン密売人が絡んだ大金をネコババした凡庸な男が、非情な殺し屋に追われるヴァイオレンスサスペンス。

監督は二つの体に一つの頭を持つと言われるコーエン兄弟。『ファーゴ』(1996)ではカンヌ国際映画祭監督賞に加え、アカデミー賞オリジナル脚本賞も獲得。『オーブラザー!』(2000)では二人で共同し脚本を手掛け、アカデミー賞および英アカデミー脚色賞にノミネート。その独特の演出法から生まれる世界観は多くの映画ファンを魅了する。

メキシコ国境に近い砂漠にて、ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)は銃撃戦後の死体の傍で偶然、200万ドルの大金を発見する。盗んで逃げるという選択肢をとったモスは、雪だるま式に追い込まれていく。追う男・謎の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)は不気味な酸素ボンベエアーガンを携え、モスの行方を容易に嗅ぎ付けていく。事態を察知した保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、2人の行方を追い調査し始めるのだが。

(↓以下ネタばれあり)

Photo モスって無計画で、その上ひとつひとつの行動が結構雑なんです。そこがすごく物語を面白くしている気がします。逃げる男・モスのキャラクター設定が私たち一般人に割と近い視点で置かれているので、“追われている”という独特の緊迫感と恐怖を生み出すこと成功している。

超人シガーVS凡人モス・・・簡単に言うとそんな感じ。Photo_2

殺人鬼シガーは絶対に曲がらないんです。固まった油の棒のようにボッテリとしていて、全身に異様なエネルギーが詰まっているイメージ。彼シガーに少しでも慈悲の心があったら、この作品はこれほどまでに評価されなかったのかもしれないですね。

キャラクターの髪型から細かく演出していくことで知られるコーエン兄弟のこだわりが随所に見られ、これが真の映画なんだ・・・と実感させられました。

あっそういえば、一つ気になるシーンがありました。それは“殺人犬が河に飛び込んだモスを猛スピードで追いかけてくるシーン”。CGじゃなかったんですね。あのシーンは殺人鬼に追Photo_4われる以上に怖い・・・ですね。

本当に衝撃的な作品でした!!

今年は良い映画が本当に多い気がします。映画批評の更新も頑張ります。

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2007.10.11

『ゆれる』

Yureru 映画批評17弾!第59回カンヌ国際映画祭監督週間 正式出品作品!

『ゆれる』勝手に自己評価!!

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

凄い映画である。

観終わった後、鳥肌が立ちました・・・

   

ゆれる吊り橋・・・ゆれる兄弟・・・ゆれる私の主観。一回目観終わった後「やられたな・・・」と思いました。私の主観は完全に殺人容疑をかけられた兄を持つ弟の猛(オダギリジョー)の視点に立ってしまっていたのです。しかし今思えば、香川照之が演じた、内面にとがった狂気の感情を持った兄・稔という存在に、完全に圧倒されてしまっていたんだと思います。

これだけ巧みで、心揺さぶられるストーリーは久しぶりです。

登場人物の深層心理である細かい感情の糸が張りめぐらされたシナリオを、頭に描いたように映像化し、そして実像として形付けていくということは難しいことです。

この作品で原案、脚本、監督を務めた西川美和という若干30代のこの若い女性クリエーターに秘められたダイヤモンドのような才能に素直に驚嘆してしまいました。

ストーリーは東京で成功した写真家の弟・猛(オダギリジョー)と地方で家業を継ぐ兄・稔(香川照之)が母の一周忌で久しぶりに出会ったことから始まる。兄の勧めもあって兄弟は幼馴染の美恵子(真木よう子)と三人で近くの渓谷に出掛けることになる。しかし、その場所で起こったある悲劇によって兄弟の内面にある感情が大きく揺れ動くことになる・・・。

兄弟と呼ばれるその絆はどこまでが確かであり、どこから解れていってしまうものなのか。印象的な吊り橋の様子から人と人の繋がりをもう一度考えさせられました。

キャスト俳優人も見ごたえ十分です。改めてキャスティングが作品の色合いと印象を360度変えてしまう、どれだけ重要であるかを考えさせられました。主要キャスト人の光る演技はもちろん、脇を固める田口トモロヲ、ピエール龍、木村祐一(キム兄)、蟹江敬三などの演技は印象的で、作品全体にクールで香ばしいスパイスを与え、場面を引き締めてくれています。Photo_6

内容自体は人間のドロドロとした感情やエゴを描いているのだけれど、作品全体をみるとさらりとしたすがすがしい印象を持ちます。なぜでしょう、何度も見返してしまう不思議な魅力があるんです。

7年後、兄弟が再会するラストシーン・・・画面に向けて最後に微笑んだ兄・稔の心情とは一体どういうものだったのか。自分なりの解釈がいくらでもできる作品です。それぞれの登場人物に焦点をおいてさまざまな角度・視点から物語を観てみても面白いかもしれません。Photo_2

心揺さぶられる見事な映画でした

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2007.08.05

『バベル BABEL』

     映画評第2回目!!

『バベル BABEL』勝手に自己評価 

★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)

賛否両論で分かれるこの作品・・・

さて皆さんはどう評価しますかね??

ちなみに私は“賛”組に入ったのですが、観た人によって感じ方が違うのも納得はできます。

なぜなら、物語の“ツナギ”があまりにも上手く出来過ぎているためです・・・結末も十分納得のいける形になっている、しかしなんだかふいに落ちないという感じですかね。         

「よく分からなかった」「退屈だった」という人はおそらく、冒頭からラストまで殺伐とした流れで続いていくストーリー展開に体が合わなかった人でしょう。

前作の『21グラム』(03)でアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作品の雰囲気を体験済みの人にとっては理解できると思いますが、最初から最後まで本気で観ようとすると彼の作品は相当体力を消耗します。私的には今回の作品のほうが、前作『21グラム』よりかは比較的観やすかった気がしますが・・・ 

『バベル』にはまった人はぜひとも前作『21グラム』を観てみてください。  

物語はモロッコ、アメリカ、メキシコ、日本の4国が一発の銃声で結ばれていく。言葉が通じない、想いも伝わらないときに私たち人間はどうやって相手に心を通わせていくのかというかなり壮大なスケールのヒューマンドラマ。

本作で、アカデミー賞助演女優賞にノミネートした菊池凛子の裸体や演技力をどうこうは言えないが、彼女が演じた聾唖の女子高生の存在感は周りの豪華俳優人を飲み込むほどであった。やはり彼女の強い目力効果だろう。

そのほかブラッド・ピッドをはじめケイト・ブランシェット役所広司ガエル・ガルシアなどキャスティングはとても魅力的だ。そのなかでもブラピ演じるリチャードの子供たちの乳母役を演じたベテラン女優アドリアナ・バラッザの演技は目を見張るものがあった。彼女が本作品の影の核的役割をなしていると思ってしまうほどであった。

あえて本作品に関して思ったのが

「物語を通して伝えたいことを多くしすぎて、監督は欲張りすぎちゃったかな・・・」

監督が『バベル』を通して1番伝えかったことは、

「子供たちが大人たちの犠牲になっている」という揺るぎない事実だと思うのです。

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